地域貢献に意欲 地元で積極採用

――2012年に上場を廃止し、外部から新井さんが来て社長に着任して経営再建を進めてきました。17年には東証1部に上場しました。再び成長できた理由は何でしょうか。

「かつては『やすらぎ』という社名で上場していて、競売から物件を仕入れていました。景気が良くなれば物件数も減ります。さらに競合も仕入れに参入しやすいため、苦しくなっていきました。対して全国の空き家は年間で60万件ほど新たに発生しているとみられます。空き家などの物件を自分たちで徹底調査して仕入れるのは大変ですが大きな市場があります」

――新井社長が着任してから、独自に空き家などを仕入れるようにやり方を変えたのですね。

「仕入れを変えて商品の質を上げること、良い人材を獲得して育てることを意識しました。新築と違いリフォームでは、同じ住宅メーカーが30年前に建てた家でも1戸1戸が大きく違います。それを調査してプランを立てるには現場の担当者による差も大きく出ます。現場をパターン化できないので、良いものをつくろうと思ったら良い人をとらないといけない」

「良い人がどういう人かというと1つは勉強して能力もある人です。そして究極は地域に貢献したい人。例えば青森県で働く人なら弘前大学など、島根県なら島根大学など地元の大学から積極的に採用するようにしています。地域のために頑張りたいとなると魂を込めて家をチェックします」

――良い人材を採用しても、経営と現場の意思疎通を続けるのは簡単ではないでしょう。

「私が会社に来た半年後から始めた『朝会』があります。毎週木曜日の午前にウェブで全国の拠点とつないで話をしています。顧客からの声や業績について、私や役員が直接話すのです。それだけだと一方的になるので社員に出席簿代わりのアンケートに答えてもらい、改善要望や意見を聞いてきました。経営陣の信頼を積み上げながら、今も現場との接点として続けています」

――住宅を買った担当者が顧客に売るまでの仕事をするほか、個別のリクエストに合わせたリフォームはしないなど独自の方針があるそうですね。

「新築のようにパターン化されていれば分業しやすいです。しかし一戸一戸の家が違う中古を修理するには分業だと伝言ゲームのようになってしまいます。最初に家を見た人がきちんと修理できているか見ることで不具合を防ぎ、結果的に生産性も上がります」

「リフォームの要望は聞きたくなりますが、やがて生産性や在庫の回転が落ちたり、現場が疲弊したりします。壁紙の色など手間がかからないところは要望に対応しますが、あくまで立てたプランをベースに納得して買ってもらっています。私が当社に来る前はリフォーム中に販売契約することができなかったようですが、在庫の回転が重要だという考えから、リフォームの完成前に販売契約する物件を増やしており当社の販売全体の4割以上を占めています」

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ニトリとの協業 緩やかに焦らず
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