生産性向上を

日本の食卓には、世界中から集められた食品が並んでいる。日本の食料自給率は低く、海外依存率が高いということになる。食料の輸送量と輸送距離をかけあわせた指標によって、食料供給の実態を明らかにしたのが、中田哲也『フード・マイレージ新版』(日本評論社・18年)だ。日本は、諸外国に比べて、輸入輸送量が大きく、輸送距離が長いため、1人当たりのフード・マイレージが大きい。輸送するために大量の二酸化炭素を排出していることは、環境問題にも結びつく。食料危機の問題も含めて、我々の生活に密着した商品がどこから運ばれてきているのかを考えることが重要である。

物流危機といわれ、ドライバー不足が深刻化するなか、物流の生産性向上が喫緊の課題となっている。これまで、輸送の機械化、荷役の自動化、管理・処理のシステム化といった個別の革新が進んできた。物流は労働集約型産業の典型といわれてきたが、世界的に起きようとしている次の改革の波が装置産業への転換である。その方向性を説いたのが小野塚征志『ロジスティクス4.0』(日経文庫・19年)である。しかしながら日本においては、改革の前提となる物流の情報のデジタル化、ハード、ソフトの標準化、さらに作業プロセスの標準化が遅れているという課題を抱えている。これは、物流企業だけで解決できるものではなく、発着荷主企業も含めて、社会全体で見直す必要があるのであり、このことは経済を支える物流の競争力強化に欠かせない視点といえる。

貿易の世界史 ――大航海時代から「一帯一路」まで

著者 : 福田邦夫
出版 : 筑摩書房
価格 : 1,100 円(税込み)


グローバル・ロジスティクス・ネットワークー国境を越えて世界を流れる貨物ー

著者 : アジア物流研究会
出版 : 成山堂書店
価格 : 3,080 円(税込み)


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