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新型コロナやスエズ座礁事故で、国際物流のリスクが浮き彫りとなった イラスト・よしおか じゅんいち

新型コロナやスエズ座礁事故で、国際物流のリスクが浮き彫りとなった イラスト・よしおか じゅんいち

新型コロナウイルス感染拡大、スエズ運河での座礁事故により、船舶の到着遅延、港湾での荷役作業遅延、船舶の滞留が発生、国際物流の混乱は、サプライチェーンにも大きな影響を与えた。物の動きを通じて、世界中はつながっており、世界中から運ばれた商品が、店舗に並んでいるのが当たり前である。経済活動、さらに我々の生活は、物の輸送によって成立している。平常時は、それを支える物流について気にすることはあまりないが、世界で起きる様々な事件、国際情勢は、国際物流に大きな影響を与えるのであり、大きなリスクを抱えているともいえる。

大航海時代以降、貿易での各国の覇権争いは、戦争、奴隷制、植民地との関連も含め、世界史そのもの。貿易の歴史を知ることができるのが福田邦夫『貿易の世界史』(ちくま新書・2020年)である。現在、巨大な多国籍企業は国家を超える力を持つ存在となっている。トランプ政権において自国の産業、雇用を守るための保護貿易政策が進められたが、一方で米国の多国籍企業は海外へ直接投資をし、大きな利益を生み出している。単純な保護貿易対自由貿易の議論ではないことを示唆している。

世界の潮流変化

世界の海上輸送について、コンテナ輸送、エネルギー輸送、2大運河、海賊対策、北極海航路など様々な視点から取り上げ、物流が、様々な経済活動、国際情勢と直結していることを認識させてくれるのが、柴崎隆一編、アジア物流研究会著『グローバル・ロジスティクス・ネットワーク』(成山堂書店・19年)である。さらに世界各地の物流状況、それぞれの地域で起きていることをつなぎ合わせてみると、世界の大きな潮流、ダイナミックに変化する物流の姿を読み解くことができる。

海洋立国である日本は、かつて港湾、海運業、造船業において、世界に誇る力を有していた。世界の港湾別コンテナ貨物取扱量をみても、1990年代前半までは神戸港、横浜港、東京港が上位に入っていた。しかし現在は中国の港湾が上位を占め、東京港が39位など日本の港湾は大きく後退している。海運業についても、日本商船隊の船腹量、輸送量シェアは減少傾向。日本の欧米基幹航路寄港便数は減少傾向にあり、日本の国際競争力低下に結び付きかねない。国際海上輸送の動向を解説しているのが池田良穂『海運と港湾』(海文堂出版・17年)である。

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