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小学2年から中学1年まで松山市で暮らし、「自然と共にある都市」が原風景になった。

静岡市で生まれましたが、新聞記者だった父親の転勤で松山に引っ越し6年間過ごしました。街の真ん中に松山城を抱く「お城山」があり、その目の前に住んでいたので、都市に自然があるのが当たり前。昆虫採集や野遊びで緑の中を駆け回っていました。

松山では鮮烈な記憶があります。小学4年になる年の春、米ニューヨークを皮切りに世界を巡回した写真展「ザ・ファミリー・オブ・マン」が開かれたのです。写真家スタイケンが世界中から家族の写真を集め、結婚や愛、子の誕生、死などから人間像に迫ったものです。衝撃を受けたのは父と息子が優雅にソファに寝そべり新聞を読む写真。日本は敗戦から10年強で、まだ貧しかった。世界は何と多様で貧富の差も大きいのかと驚きました。

子どもの頃はラジオで落語や講談なども聞き、本もたくさん読みました。漫画から伝記物、科学の本、芥川龍之介などの文学書と幅広く、印象深かったもののひとつがシュバイツァーの伝記。博愛精神や弱者への視線に心打たれました。でも医者になろうとは思わず、父のような新聞記者になりたくて中学では学生新聞を作っていました。

東京工業大学に進み、最初は建築を学んだが、やがて関心は都市問題や環境問題へと移っていった。
はらしな・さちひこ 1946年静岡市生まれ。69年東工大卒、75年同大学院博士課程修了。東工大教授を経て2012年千葉商科大教授、17年現職。専門は社会工学。

はらしな・さちひこ 1946年静岡市生まれ。69年東工大卒、75年同大学院博士課程修了。東工大教授を経て2012年千葉商科大教授、17年現職。専門は社会工学。

東工大を選んだのは、著書を読んで憧れた数学者・遠山啓先生が教えていたから。入学した1960年代半ばは公害問題が深刻。大学祭で公害をテーマに展示をするとき、クラス幹事として庄司光・宮本憲一著『恐るべき公害』を読み、義憤を覚えました。公害というとまず大気や水の汚染ですが、私は「満員電車も公害だ」と主張し仲間はびっくり。振り返れば、宇沢弘文著『自動車の社会的費用』の視点と同じで、私の後の研究につながります。

建築学科で都市計画に興味を持ち、エベネザー・ハワード著『明日の田園都市』を熱心に読みました。著者は大都市ロンドンの生活環境問題の解決には、郊外に自然と共生する小都市を計画的に建設すると都市経営的にも実現性があると唱え、実践もしました。

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