会って雰囲気感じて

スタートアップ企業に特化した就職情報サイトの「CheerCareer」では、企業が投稿を通じて社内の雰囲気を伝える「タイムライン」機能を20年の夏に導入した。きっかけは「就活がオンライン化したことで社風を確かめる機会が無くなった」との学生の声だ。投稿には新入社員の研修の様子など、リアルタイムに会社の雰囲気を伝える内容が並ぶ。

「会社の『リアルな姿』を伝えることで、入社後の姿を想像できるようにした」。Cheer(東京・新宿)の平塚ひかる社長は、同社が運営するCheerCareerの狙いをこう語る。就活生は会社から選ばれる立場だが、一緒に働きたい人を選ぶ立場でもあると考え、配属先の同僚や上司の姿をイメージしやすくした。

平塚社長は「最初から企業規模や業界で志望企業を絞るのではなく、10~20年後の目標をかなえることができる環境を探すことが大事」だと話す。募集広告が出ていなくても、「インターンや社員訪問をしたいと言えば対応してくれるスタートアップ企業は多い」「気になる会社があれば積極的に話を聞きに行くべきだ」と説明する。

一方で「企業に成長させてもらう」といった受け身の姿勢では、面接の突破は難しい。平塚社長は企業と就活生の関係は「ギブアンドテーク」だと語る。「自分が入社した後、企業価値の向上にどう貢献できるかをアピールしてほしい」と話す。

人事担当者と就活生が一対一で話せるイベントを利用するスタートアップ企業も多い。動画制作のフラッグシップオーケストラ(東京・品川)は4月、東京・墨田で開催された「上位校逆求人フェスティバル」に参加した。1回当たり30分間、就活生と人事担当者が会話できるのが特徴だ。同社の人事チームの七沢健太氏はスタートアップを志望する学生が不安を持つことに理解を示す。その上で「じっくり話をすることで会社の魅力を知ってもらいたい」と意気込む。

イベントを主催した就活のお父さん(東京・江東)の高岡淳弥社長は、主観と客観の2つの目線で企業をみるのが重要と話す。主観的な目線については「企業の人と実際に会って、自分と近い人だと感じられるか確かめて」と助言する。さらに市場規模などのデータを使い、客観的に会社を分析することが大事だと説明する。

知り合いに誘われたら

社員が知り合いを会社に紹介する「リファラル採用」も広がっている。内定者や社員が就活生に声をかけ、自社の求人やインターンへの応募に結びつける従来の選考ルートとは異なる採用手法だ。

「ブランド力で大手企業に劣るスタートアップ企業にとってリファラル採用は有効な手法だ」。リファラル採用を支えるアプリケーションを開発する、MyRefer(東京・中央)の鈴木貴史社長はこう語る。「若い世代は広告媒体への信頼度が低い。自身の友人や先輩からの紹介の方が信頼できるのではないか」との意見を持つ。

声をかけられた就活生はどう対応すべきか。会社説明会や面接のようにかしこまる必要はなく「気軽な雰囲気で話を聞けばいい」と話す。

取材で最も多かった助言は「まずは社員と話してみること」だった。スタートアップ企業は門戸を開けて就活生を待っている。一生に一度の新卒就活で入社すべき企業かどうか、恐れずに自分の目で確かめよう。

(赤堀弘樹)

[日経産業新聞 2021年5月12日付]

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