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断食後の楽しみラマダンパック 1個800円贈り物にも

日経MJ

スーパーの店頭に並ぶ「ラマダンパック」(4月、イスタンブール)
スーパーの店頭に並ぶ「ラマダンパック」(4月、イスタンブール)

イスラム教諸国は4月13日ごろから1年で最も神聖な断食月(ラマダン)に入っている。トルコでは毎年、ラマダンの1カ月ほど前から、スーパーの店頭に「ラマダンパック」と呼ばれる食品の箱詰めが並ぶ。パックは大中小のサイズがあり、今年は60~130リラ(約800~1700円)ほどの価格が一般的だ。

ラマダンといえば厳しい断食のイメージがあるが、イスラム教徒にとっては信仰心や団結力が高まる喜びの1カ月でもある。特に日中の断食を終えた日没後、初めて口にする「イフタール」と呼ばれる食事には親戚や友人などが集まり、ラマダン中ならではのごちそうを楽しみにする人が多い。トルコではヤシの実の果実デーツ、牛乳を使ったデザート「ギュルラッチ」などが代表的なメニューだ。

ラマダンパックの中にはこうした食材や穀物、ペットボトル飲料などが詰まっている。個別に買うより安くそろえられる上、贈り物としても用いられる。ラマダン中は特に貧しい人との分け合いが重視されるため、一人で数十~数百個を買い、近所の低所得者に贈ったり慈善団体に寄付したりする人も多い。

食品の箱詰めはイスラム教の多くの国々で見られ、政府などが貧困家庭に配っているが、トルコでは小売店が多く扱う。スーパーのレジでは消費者が見知らぬ人に贈る分の寄付を受け付けているほか、企業の福利厚生の一環として従業員の自宅に直接配送するサービスを展開している。1箱10~20キロと運ぶには重い実物の代わりに、引き換えできるギフト券もある。

イスタンブールの小売店などによると、新型コロナウイルスの感染拡大1年目となった昨年、感染状況や経済の不透明感からか、ラマダンパックの売れ行きは芳しくなかったようだ。

大手スーパーマーケットチェーンのミグロスは昨年の販売動向を明らかにしていないが、今年は昨年の2倍に回復すると見込む。例年は街角や大きな宴会場、モスク近くのレストランなどで行われるイフタールが禁止され、家庭で祝うことが増えるためとみられる。

(イスタンブール=木寺もも子)

[日経MJ 2021年5月10日付]

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