特にオンラインの説明会で都内を拠点にする保険会社の総合職を見て「様々なビジネスを経験できる」と魅力を感じた。オンラインになったことで「地方勢も以前は東京のみでしか開催していなかった説明会にアクセスできるようになった」と語る。

地方の学生にとって大きいのは就活にかかる費用の減少だ。愛媛大の佐藤さんは就活を始める前、大学の先輩たちがインターンや面接のために愛媛と大阪・東京を往復する姿を見てきた。「就活費用は20万~30万円が必要になる。大学の空いた時間にアルバイトをしていた」と話す。

ただ、夏から冬にかけて参加した東京・大阪の企業のインターンはオンラインでの参加が中心で、これまでにかかった費用はスーツ代や履歴書などで5万円程度だ。「費用がかからなくなったのは本当に大きい」(佐藤さん)

ディスコの調査では、就活にかかった費用の平均は21年卒が合計9万7535円だった。20年卒の13万6867円と比べて、3割減った。内訳をみると特に減少したのは交通費だ。21年卒は3万6128円と、20年卒の6万2407円に比べて4割減った。

地方の学生にとって、首都圏や関西圏の企業に就活する上で不利なのが情報量だ。新型コロナの流行以前であれば、大学のキャンパスで授業の合間に友人と選考状況や持ち駒などを確認するのは就活を進める上で重要な情報源だった。東京の企業であれば、受ける学生が多い首都圏の大学生に情報が集まりやすい。

SNSで情報格差は減少

SNSの活用で情報の格差は狭まっている。西南学院大を22年春に卒業する小松康志さん(仮名)は東京の企業を志望するが、対話アプリ「LINE」の掲示板機能「オープンチャット」を使い、志望業界や企業情報を調べる。

オープンチャットには業界や各企業の掲示板がある。掲示板によっては数千の就活生が集まり選考状況や聞かれたことの情報が飛び交う。小松さんは掲示板の情報から「嘘の情報にも気をつけながら、受けた面接の通過率が低そうだったら持ち駒を増やして就活を進めている」と話す。

就活のオンライン化により企業が恐れるのがミスマッチだ。オンライン就活では「就活がバーチャル上のものになってしまう。入社後にギャップが生まれないか心配」(大手保険会社)との声がある。

訪問したことのない土地や企業での新生活は、新入社員の不安が大きい。愛媛大の佐藤さんの場合、人材サービス会社の面接は全てオンラインで進み、直接企業の社屋に行かずに選考が終わった。「正直、直接企業を見て入社を決めたかった」と話すが、「今までも大学進学で知らない地に行って生活しているのでやるしかない」と前を向く。

地方の企業にとっては近隣の大学生をとどめたり、Uターン学生を獲得したりするための工夫が求められる。

(結城立浩)

[日経産業新聞 2021年4月28日付]

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