地方学生のネット就活 SNSの掲示板で情報飛び交う

イラスト=太田美菜子
イラスト=太田美菜子

新型コロナウイルス禍で就職活動がオンライン化し、地方に住む就活生が首都圏や関西圏の企業の就活に相次いで参入している。就活で大きな負担だった交通費や移動時間が削減され、説明会や面接に参加しやすくなっている。一方で、直接企業を訪れずに入社を決めるのに不安の声もある。

マイナビは採用広報解禁日の3月1日に、ウェブでの合同企業説明会「マイナビ就職MEGA WEB EXPO」を開いた。例年、同社が開催する同説明会は2019年まで対面が中心だった。一部オンラインを活用していたが、20年からはオンラインのみで開催している。今年の延べ視聴回数は20年比2倍増の約80万回だった。

今年のイベントには首都圏の企業を中心に約540社が集まった。首都圏1都3県を除く地域からの視聴の割合は5~6割で、回数は約43万回だ。20年の開催と比べると割合は大きく変わらないものの、回数は約18万回増えた。

19年以前は地方の就活生にとって、首都圏の企業の説明会に多く参加するには東京近辺に来る必要があった。オンライン化により「地方の学生が首都圏の企業をみる機会が増えている」(マイナビ)。

新型コロナが流行した昨年春ごろから、就活はオンライン化が進んだ。就職情報会社のディスコ(東京・文京)が22年卒の就活生に対して4月に実施した調査では、オンライン形式の説明会に参加した経験がある割合が9割に上った。

ネット就活で首都圏に興味

「就活をオンラインで進めるうちに、東京の企業への興味が大きくなっていった」。愛媛大学を22年春に卒業予定の佐藤充さん(仮名)はこう語る。佐藤さんは20年春から就活を始め、21年に東京の人材サービス企業の内定を獲得した。

佐藤さんは兵庫県出身で同県の高校を卒業し、愛媛大学に進学した。大学入学時は「愛媛大は愛媛県での就職が強いことと、周囲は出身地での就職を考える人も多い」ことから、愛媛県か地元の関西圏での就職を考えていた。

ところが3回生になった20年春に、新型コロナウイルスが流行した。就活がオンラインに切り替わる中で、もともと興味があった人材やIT(情報技術)企業を中心に、オンラインで説明会やインターンに参加した。

「就活がオンラインになり、それまで知らなかった東京の会社を知って東京に行くモチベーションが上がった」と佐藤さんは話す。夏に愛媛県内の企業に加えて、首都圏と関西圏の計5社のオンラインのインターンに参加した。

インターンへの参加や業界研究をするうちに「自分のやりたいことをするのに働く場所は関係ない」と思うようになった。就活の軸として「より大きな影響を与えられることもいいのでは」と考えるようにもなった。21年に入り、都内に本社を置く人材サービス会社から内定を得た。

北海道の小樽商科大学に通う山下孝さん(仮名)も、北海道内の企業に就職を考えていた。だが、オンラインのインターンや説明会に参加して、東京の企業にも興味を持った。

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