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漫画から約900ページの大作まで、本腰を入れてお金に向き合おうという書籍が増えている

まずはクイズから。100万円を年利2%の預金口座に預けると5年後の口座残高は?a・110万円より多い b・ちょうど110万円 c・110万円より少ない

答えはa。簡単な「複利」の計算だが日本の正答率は4割台と米国の7割台より相当低い。金融広報中央委員会による「金融リテラシー調査(2019年)」の結果だ。これも長引く超低金利の弊害か。日本で預金金利が2%あったのは四半世紀も前のことだ。

かねて指摘されてきた「日本人の弱点」克服に向け教育が動き出す。学習指導要領が改訂され、2022年度から高校の「家庭科」に金融教育が組み込まれることになったのだ。折からの株高もあり書店では「マネー本」が花盛り。目先のもうけを強調するきらいのあった過去のブームと比べると、漫画から専門書まで豊かなバラエティーの中にもイチから腰の入った取り組みが目立つのが特徴だ。

『マンガでわかる高校生からのお金の教科書』(小柳順治原作、河出書房新社)はしょっぱなから日本人のお金に対するアンビバレントな感情を「ツンデレ」と定義して秀逸。本当は好きで仲良くなりたいのに「話をするのは下品」……そんな人のところにお金はよってこないよ、と喝破する。

『今さら聞けないお金の超基本』(坂本綾子著、朝日新聞出版)は18年の初版以来25刷。「お金とは」の定義後、稼ぐ、納める、ためる、使う……生活にかかわる6つの場面ごとに必要な実践知識を解説する。ビジュアルな解説が親しみやすい。今年新たに加わったのが同『投資の超基本』(泉美智子著、同)。個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)や少額投資非課税制度(NISA)をはじめ、投資の実践時に役立つ情報を網羅する。

「1時間で分かる」や「1日1話」など流行のアプローチも豊富。『そのとき、「お金」で歴史が動いた』(ホン・チュヌク著、文響社)は「株式会社の誕生」から「アフターコロナの世界経済」まで1日1話、55ストーリーを読むとお金を軸にした世界の歴史が浮かび上がる。韓国の経済学者の筆だけにコロナ後に待つ格差拡大の問題意識も鋭い。最後に紹介する『家庭の金銭学』(R・イーデルマン著、金融財政事情研究会)は約880ページの大著で一家に1冊ある「家庭の医学」のマネー版。著者は米著名ファイナンシャル・プランナー。多くの「普通の人」が確定拠出年金(DC)で一財産を築いた国の金融知識の核は日本でも有用だ。

(マネー・エディター 山本由里)

[日本経済新聞2021年4月24日付]

マンガでわかる 高校生からのお金の教科書

著者 : 小柳順治
出版 : 河出書房新社
価格 : 1,650 円(税込み)

株・投資信託・iDeCo・NISAがわかる 今さら聞けない投資の超基本

著者 : 泉 美智子
出版 : 朝日新聞出版
価格 : 1,320 円(税込み)

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