均等法第1世代は50代 女性も定年予備軍100万人時代

2021/4/26

1986年に男女雇用機会均等法が施行されて35年。90年ごろまでに就職した均等法第1世代の女性は定年期を迎えている。総務省の労働力調査では、55~59歳の正規雇用で働く女性は約100万人。男性の問題だった定年が女性にも身近になりつつある。ロールモデルとなる先輩が極めて少ない中、第1世代はセカンドキャリアをどう描くのだろうか。

目指すは「3つの名刺を持つ自分」

辻田淑乃さんは昨年3月に55歳の役職定年を迎えて退職し、新たな一歩を踏み出した。4月に雪国まいたけの社外取締役に就任、秋には着物のシェアサービス「ルリエ」を立ち上げた。退職を決めた19年末から仏HEC経営大学院の修士課程でイノベーションとアントレプレナーシップを学んでもいる。目指すは「3つの名刺を持つ自分」だ。

着物のシェアビジネス「ルリエ」を起業した辻田淑乃さん

1987年に大学を卒業して外資系証券会社に入社した。出産・子育てで仕事を離れた時期もあるが、2002年に日本たばこ産業に転職してからは経営企画や財務などを担当、IR広報部長を務めた。退職にあたり「どうせなら今までと違うフィールドで社会に役立ちたい」と2年前から準備を始めた。

人材紹介会社に登録する一方、女性のためのセカンドキャリアを支援するネクストストーリー(横浜市)の研修にも参加。やりたいことをノートに書き出していった。「生まれ変わったら国立公園で自然保護活動を行うパークレンジャーになりたい、と娘に話したら『今からなればいい』と言われ、自分の中の制約から解放された」。1つの会社に全ての力を投入するのではなく、仕事のポートフォリオを作って社会に還元したいと考え、3つのテーマに挑戦することを決めた。

1つ目は、好きな分野で起業することだ。着物が好きで長く着付け教室に通っているが、今や着る人はごく少数。実家には多くの着物が保管されており、着物好きな人同士でシェアリングできないかと考えた。住んでいる横浜市のスタートアップ講座に申し込み、仕事後、夜間に3カ月通って起業した。

2つ目のテーマはこれまでの実績を生かした仕事をすること。社外取締役への就任がこれにあたる。そして3つ目は若い人のスタートアップを支援することだ。まずは自ら知識を付けようと、大学院に進学しオンラインで学ぶ。

仲間とプラン共有 3カ月ごとに近況報告

辻田さんが参加したネクストストーリーの研修は19年に始まり、これまで約50人が受講している。セミナーでは第二の人生で何を得たいのか、将来を思い描きながら具現化する。プランを仲間に伝えることはもちろん、実際に行動に移すため、3カ月ごとに近況を報告し合う。

18日には辻田さんら卒業生が発表者となったイベントを開催。会社に残った人、NPO活動に従事する人、転職した人などがこれからのキャリアについて語り合った。

ネクストストーリーの西村美奈子社長自身も、定年を前に第二の人生について考え、同社を立ち上げた。大学卒業後の1983年に富士通に入社。在職中から昭和女子大の研究員として、女性のセカンドキャリアの研究を始めた。早期退職後は研究に専念する。

次のページ
子育て負担から解放 仕事への意欲高まる