コロナストレスで緊張型頭痛 肩回し腕振り体操で予防

痛みが続く場合は専門医にかかりたい(東京都墨田区の向島病院)
痛みが続く場合は専門医にかかりたい(東京都墨田区の向島病院)

新型コロナウイルスの感染が広がるなか、頭痛が起きたり、悪化したりする人が目立っている。在宅勤務や外出自粛で家にいる時間が長くなり、今までと違うストレスや運動不足が重なるといった背景があるようだ。頭痛は仕事や家事にも支障をきたす。予防や改善に向けてはどんな手立てが必要だろうか。

「コロナ禍で生活環境が変わり、頭痛が起きる回数が増えた」。東京都済生会向島病院(東京・墨田)の脳神経内科外来に通う事務職の女性(46)はこう話す。もともと頭痛持ちだったが、頻度はそれまでの月3回程度から、8~10回に増えた。職場と自宅の往復だけで友人などと気軽に会えず、「ストレスがたまる一方」と訴える。月に1回診療を受け、処方された薬で痛みを抑えている。

コロナ禍による社会の変化も踏まえ、向島病院の大野英樹脳神経内科部長は一般的な傾向として「頭痛の患者はこの1年で増えている可能性が高い」と分析している。

頭痛には脈打つような激しい痛みを伴う片頭痛、頭が重くて締め付けられるように痛くなる緊張型頭痛など様々なタイプがある。よみうりランド慶友病院(東京都稲城市)の荒木信夫副院長はコロナの感染拡大が「緊張型頭痛を招きやすい環境をつくっている」と指摘する。

緊張型頭痛はパソコンやスマートフォンを長時間使い続けるなどすると起こりやすい。頭から首筋、肩や背中にかけての筋肉が緊張し、血流が悪くなったり、痛みを感じる神経を刺激したりする。精神的なストレスで生じる場合もある。森山記念病院(東京・江戸川)の白水秀樹救急医療センター長(脳神経外科)は「神経が痛みに敏感になり、普段ならたいしたことのない刺激を拾ってしまうこともある」と説明する。

緊張型頭痛の予防・対処法として、大野医師は「適度な運動と、ストレスを上手に解消するような取り組みが必要だ」と強調する。頭から背中にかけてのこりや張りを防ぐのが大切だ。正しい姿勢を心がけ、こまめに休憩をとる。在宅勤務はオフィス出勤に比べてオンオフの切り替えが難しいが、ダラダラと仕事をするのも避けたい。

専門医が勧めるのが「頭痛体操」だ。首を動かさずに体をひねったり、肩を多く回して肩甲骨を動かしたりする。

自宅でストレッチなどの運動をする手もある。「専門家が『ユーチューブ』に投稿している動画を参考に体を動かすといい」と白水医師。ただし首や肩に強い痛みがあるときは避けるべきだという。

生活習慣の改善や運動を続けても症状が改善しない場合には、薬を服用することになる。荒木医師は「緊張型頭痛の多くは市販の頭痛薬で対処してかまわない」と語る。

激しい痛みが続く場合には医療機関を受診する必要がある。くも膜下出血といった命に関わるような病気につながる可能性があるからだ。

だいだいクリニック(東京・千代田)の石井翔院長は「その痛みが緊張型頭痛なのか、それとも別に原因があるか、検査を受けるなどして確認するのが大事だ」と強調する。

石井院長によると、緊張型頭痛が続けば、不眠症や鬱病などの引き金になる恐れがあるという。コロナ禍による仕事や生活の変化が関係しているかもしれない。甘く見ずに早めに対応することが肝心のようだ。

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薬の使いすぎには注意

緊張型頭痛は市販の鎮痛薬で和らぐ場合がある。最近ではコロナ感染リスクを少しでも避けたいと医療機関の受診を控え、市販薬に頼る傾向が強まっているようだ。ただ「市販薬に頼りすぎて頻繁に服用すると、痛みの悪循環につながる恐れがある」と荒木医師は警告する。

痛みを抑えようとして薬を使う回数や量が増えると、かえって脳の神経が痛みに敏感になってしまうという。ちょっとした刺激をきっかけにして頭痛が起きる回数が増えてしまいかねない。薬が効きにくくなるといった事態も考えられる。

石井医師は「自分が薬を使いすぎていないか日常生活のなかで意識するのが大事だ。できれば医療機関を受診し、専門医の指導を受けながら薬を使うのが望ましい」と話す。

(大橋正也)

[日本経済新聞夕刊2021年4月21日付]

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