1年目は顧客対応などのハードルが高い業務には就かず、裏方に回ってシステム開発に携わる。客先に出ずに基礎技術を学ぶ「職場内訓練(OJT)」に集中できるようにする。新入社員一人ひとりにチューターとして先輩社員が割り当てられ、スキルアップを目指して経験を積ませる。

14~16年に入社した社員の3年後の離職率は、いずれも約5%と低い。1年間の平均有休取得日数は例年18日程度と高い。かつては長時間の残業もあった。ところが勤務時間を大幅に超過すると問答無用でプロジェクトの担当を外す「レッドカード制度」を19年に導入し、以後はほとんどなくなった。

同社の渡辺清人事総務本部長によると、新型コロナの流行もSEの働き方改革の追い風になった。「以前はセキュリティーの問題でテレワークを禁止する顧客が多かったが、コロナの影響で在宅勤務が認められるようになった」と話す。「社員が満足していないと良い人材は集まらず、入社しても定着率が低くなる」と、労働環境の整備の重要性を強調する。

システム開発のシステナは事業拡大を見据え、21年に約560人をSEとして採用した。約半数はプログラミング未経験だ。採用活動ではITの知識に限らず経営理念に共感できるか、向上心や主体性を持って課題に取り組めるかといった点を評価する。

同社の高波志帆さんは、プログラミング未経験者ながらも20年にSEとして入社した。経営学部出身でマーケティングを専攻し、就活でも食品メーカーなどを受けていた。一方で、将来のことを考えると手に職を持った方がいいのではと考えるようになり、システナへの入社を決めた。

研修を経て6月に実地配属された。初めは「スキルが全然足りていなかった」と振り返る。周りと比べて技術不足だと思われていないか不安だったが、上司から「他人ではなく、以前の自分と比べよう」と助言されて気持ちが楽になった。わからないことは何でも先輩に聞くように心がけている。

普段は定時で仕事を終えている。「忙しい時期は午後9時ごろまで残業するが、ネットの書き込みのような法外な労働環境は経験したことがない」と話す。

スクール通いで一歩リードも

プログラミング未経験でも採用する企業が増えるなか、在学中からスキルを磨く就活生も増えている。IT技術者の人材紹介などを手がけるBranding Engineerは、プログラミングスクール「tech boost」を運営する。コロナ禍以前の19年と比べて、20年の1年間の大学生の入学者数は約2倍に増えた。

学生の受講生はプログラミングの経験がほとんどなく、文系も多い。SEやプログラマーなどの専門的な職種を目指していなくても「勉強すれば十分、『学生時代に力を入れたこと』として語れる」(同社の佐藤心哉事業部長)。

明治大学の文学部で学ぶ3年生の男子学生は、3月からtech boostのオンラインコースを受講している。「就活で武器になるスキルがほしい」のが理由だ。カリキュラムの最終目標は自分でアプリケーションを作れるようになることだ。「インターンのエントリーが始まる6月には、プログラミングが特技であるとアピールできるようになりたい」と勉強に励む。

(赤堀弘樹)

[日経産業新聞 2021年4月21日付]

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