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アサヒグループホールディングス社長に海外事業を統括していた勝木敦志氏が昇格した。新型コロナウイルスが飲食店向けを直撃し、国内ビール系飲料の販売数量の推計シェアでは昨年、キリンホールディングスに首位の座を明け渡した。勝木社長は巻き返しを期して「バージョン2.0のようにスーパードライを新しい形にしていきたい」と述べた。

グローバル展開、5ブランド軸に

――2月の社長就任会見では高級な「プレミアムビール」の位置付けで、スーパードライの海外販売に力を入れる考えを述べていました。

「プレミアムブランドを世界の方々に楽しんでいただいて、収益をグローバルで上げていくのが基本の方針です。競合と比べて優位だと思っているのは、グローバルで展開するハイエンドな5ブランドを持っていることです。スーパードライをメインに打ち出していきますが(欧州での事業買収によって手に入れた)ペローニ・ナストロ・アズーロ、ピルスナー・ウルケル、グロールシュ・プレミアム・ラガー、コゼルをグローバルで水平展開していきます。これが当社の独自な価値だと思っています」

――勝木さんは2011年からオーストラリアに勤務して、スーパードライの販売拡大に力を入れたそうですね。

「スーパードライをハイエンドなホテルやバーで展開することに注力して、現地市場でプレミアムビールとして大変高い評価を得るようになりました。こうした成功体験をベースにして5つのブランドを世界で伸ばしていきます」

「ビール市場にプレミアム化の波が起きていると見ています。例えば欧州では家庭向けの商品単価が顕著に上がっています。当社はプレミアムブランド以外でも強いブランドを持っていますので(低価格志向が併存する)消費の二極化にも対応できます」

――1987年発売の「スーパードライ」は日本ではロングセラーでありビールで最も売れているブランドです。海外の本格開拓はこれからですが高級感のあるとがったブランドとして認識されているのですか。

「米国など海外では仲間とバーベキューをするときに、センスのいいビールを持って行きたいという意識があります。世界の消費者がそれだけ豊かになっているのですね。オーストラリアでもバーベキューをするときに、普通のブランドよりも先端的なビールが好まれる傾向があると思います。例えばスーパードライやクラフトビール、(欧州ブランドの)ペローニなどはそれに当てはまるでしょう」

――しかし日本では逆に最も売れているスーパードライが、退屈なビールだと思われている面がありませんか。

「そこは強く否定すべきなんでしょうけれど、おそらく一般の消費者の方は、そういう目でご覧になっている面があると思います。我々も危機感を強く持っています。これまでは『史上最高のうまさ』という言い方で売ってきました。ただ、それは供給する側としては当たり前とも言えます。(供給者としていかに高品質の製品を出すかを重視する)プロダクトアウトをきかせすぎたところがあります」

「品質を訴えるのはいいんですが、それだけで終わってはいけません。もっと人々の感情に訴えようという取り組みを始めています。テレビCMでは若いタレントを起用して『ビールがうまい、この瞬間がたまらない』というキャッチフレーズを使っています。こういう地道な取り組みが奏功して、ライトユーザーが増えつつあります」

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