生ジョッキ缶、若者呼び込む

――スーパードライの販売減とその要因としてマーケティング戦略の課題などは長く指摘されてきたことでもあります。ここまでなかなか改善できなかったのは、やはり組織が過去の成功体験に縛られていた面があるのですか。

「成功体験の呪縛とまでいうと言い過ぎかもしれませんが、成功体験があまりにも大きかったがゆえに、それを否定できなかったということはあると思います。入社してからスーパードライの成功体験があった人たちにとって、これは本当に大きな普通では得られないような体験でした。これは否定ができないし、間違いでもない。それを否定しては我々の強みや良さを失ってしまったでしょう」

「ただ、ここに来てこれだけ社会や消費動向の変化があって、さらにコロナ禍が直撃してスーパードライの強みのひとつである業務用が壊滅的になったということを経ても、それでもまだ過去の成功体験に頼っているようでは経営者失格です。従業員の皆さんもそれではいけないと思います。ただ、スーパードライをやめるとか、否定しろと言っているわけではありません。新たなスーパードライ、バージョン2.0のような形にもっていかないといけません」

――家庭でジョッキの生ビールのような泡立ちを楽しめる「生ジョッキ缶」を「スーパードライ」のブランドで開発して売り出しました。コロナ下の「巣ごもり」生活に対応したものですね。

「素晴らしいイノベーションだと思っています。飲食店で生ビールを飲んでいただけないということで生ジョッキ缶を開発しました。20~30代の新しい購入層、若者の購入意向が高いです。スーパードライは年齢の高い層に強い支持を得ていますが『おじさんブランド』ではいけません。原点に立ち返って新たなユーザーを増やす地道な活動が欠かせません」

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小さな成功を生み出し育成
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