小さな成功を生み出し育成
――国内事業ではスーパードライへの依存がなお高いと思います。新しい大ヒット商品を生むためのイノベーションをこれからどのように起こしていきますか。
「消費動向や社会の変化を捉えて小さな成功を生み出し、それから育てるということをやりたいと思っています。19年にはアサヒクオリティーアンドイノベーションズという研究開発の会社を立ち上げました。ベンチャーの方などとオープンイノベーションで一緒に進めています。成果も徐々に出てきました」
「ここでは必ずしも実を結ばなくてもいいよということで、一定の枠内で投資する形をとっています。アサヒグループホールディングスの投資基準でみると、絶対投資できないという案件もありますよね。ときにはお金をドブに捨てることも覚悟で進めないと新たな消費の変化に対応できないでしょう。投資規律ばかり言っていても難しいと思います」
(聞き手は日経MJ編集長 鈴木哲也)
勝木敦志 1984年青山学院大経営卒、ニッカウヰスキー入社。2017年にアサヒグループホールディングス取締役、18年常務、20年3月専務兼最高財務責任者(CFO)、21年3月から現職。北海道出身。61歳
■家飲み需要、取り込み急務
アサヒグループホールディングス(GHD)の2020年12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比35%減の928億円、売上高にあたる売上収益は3%減の2兆277億円だった。海外でのM&A(合併・買収)を進め、海外売上高比率は39.1%となり、利益でも48.7%を海外で稼ぐ。
一方、国内事業は苦しい。コロナ禍で飲食店向け需要が減少。国内の売上収益は前の期比11%減となった。家飲み需要の取り込みが急務となるなか、6日に蓋を開けると自然に発泡するアサヒスーパードライの「生ジョッキ缶」を発売。家庭用サーバーを使った会員制の生ビールの提供サービスも5月に始め、巻き返しを図る。
(逸見純也)
アサヒグループホールディングス(GHD)の2020年12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比35%減の928億円、売上高にあたる売上収益は3%減の2兆277億円だった。海外でのM&A(合併・買収)を進め、海外売上高比率は39.1%となり、利益でも48.7%を海外で稼ぐ。
一方、国内事業は苦しい。コロナ禍で飲食店向け需要が減少。国内の売上収益は前の期比11%減となった。家飲み需要の取り込みが急務となるなか、6日に蓋を開けると自然に発泡するアサヒスーパードライの「生ジョッキ缶」を発売。家庭用サーバーを使った会員制の生ビールの提供サービスも5月に始め、巻き返しを図る。
(逸見純也)
[日経MJ2021年4月19日付]