漫画「ジョジョの奇妙な冒険」とコラボも
こうした中で2019年、ファッションに関心のある若者を取り込もうとリブランディングを実施した。ロゴを「5」からスポーツの「S」とも読めるような書体に変更。
オレンジや緑といったカラフルな色使いのものを投入するなど、デザインにこだわった。文字盤も針も黒というワントーンでまとめた商品にも挑戦。従来は時間が読み取りにくくなるのでご法度とされていたという。少年ジャンプの人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」や格闘ゲーム「ストリートファイター」とのコラボ時計も販売した。
ブランド刷新を機に、数十年ぶりに日本での取り扱いも再開した。ショッピングセンターの時計専門店を中心に展開している。SNSでの発信も強化しており、2020年にはインスタグラムで文字盤や針など好きな組み合わせを投票するキャンペーンを実施した。今後、投票結果をもとに商品化する考えだ。
統一イメージを打ち出して勝負しようと、世界で展開する「グローバルブランド」の1つに新たに加えた。高価格帯の「グランドセイコー」や高機能腕時計「アストロン」など他のブランドより価格が安いことを強調し、エントリーモデルとして利用を促す考えだ。
新型コロナウイルスの感染拡大で外出が減り、時計を身に着ける機会が減っている。高級時計GSのように富裕層の消費に支えられていない5万円以下の普及価格帯の時計はその影響を大きく受けている。若者の時計離れが進む中で、どのように消費を捉えるか、難しい挑戦が続く。
(淡海美帆)
ブランド名はスポーツ、スーツ、スペシャリスト、センス、ストリートという自分を表現する5つのスタイルを意味する。1963年に誕生した当時は自動巻きや防水性といった5つの機能を表していた。歴史あるブランドを現代風にして、国内外で若者の需要を開拓する。
[日経MJ 2021年4月2日付]
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