ウォンテッドリーは就職や転職を目的とした個人と企業が投稿を通じて交流するSNSだ。一般的な求人サイトにあるような給与などの雇用に関する情報は掲載せず、会社設立の経緯や事業の意義といった「熱い思い」が並ぶ。社員のプロフィルやオフィスの写真も大きく掲載され、文字情報が多い就職支援サイトとは一線を画す設計だ。新卒採用やインターンの情報も載せる企業も多い。

SNSらしさが最も表れるのが、個人も企業も使える「ストーリー」機能。テーマは自由で、社員インタビューや忘年会の様子といった社内の雰囲気を伝える投稿が多い。求職者は過去に携わったプロジェクトやスキルアップの記録を投稿してアピールできる。

応募者は気になった企業を見つけ「話を聞きに行きたい」というボタンを選んで、興味を持っていることを示す。履歴書などは用意せず、応募者と企業の価値観を擦り合わせるための「カジュアル面談」が設定される。その場で自分がやりたいことを伝えたり、実現できるかどうかを質問したりしても良い。企業側は事前に応募者のストーリーやプロフィルを確認することが多いようだ。

ここで「合わない」と感じたら本格的な選考を受けないという選択ができる。中谷さんも「自分と合いそうにない企業はその後の選考に進まなかった」という。企業と応募者が共感できるかを最初に確かめ、入社後のミスマッチを防いでいる。

ウォンテッドリーの学生ユーザーは2021年1月時点で10万人以上だという。ウォンテッドリーの奈良英史氏は「知名度や待遇だけでなく、企業のミッションに共感できるかどうかを重視する学生に使ってほしい」と話す。企業をよく知らないまま志望動機を書くのではなく、まず社員に会い話を聞いてみるというスタンスが良さそうだ。

音声でもアプローチ

新たに登場したSNSを活用する企業も。人材サービスのネオキャリア(東京・新宿)は招待制の音声SNS「クラブハウス」で学生にアプローチする。週に1~2回、平日の午後に同社の西沢亮一社長と人事担当者が出演し「大手企業とベンチャー企業の違い」「人材業界の良いところ、悪いところ」などをテーマに約1時間語り合う。

直接採用とは関係のない話もするのがミソだ。聞き手である学生は経営者をより身近に感じられる。毎回参加者は平均で50人程度、多いときは150人いたという。実際聞いた人が選考に来たケースもあった。同社の新卒採用責任者の柳直輝氏は「今の学生は忙しい。ネットサーフィンなど何か別のことをしながら耳を傾けてもらえるのがクラブハウスのメリットだ」と話す。

今までの就活では企業側が発信する情報を頼りにするしかなかった。自分に合った企業を見つけたり本当の企業の姿を把握したりするためには、学生が主体的にアプローチできるSNSが欠かせない存在になりそうだ。

(赤堀弘樹、鈴木洋介)

[日経産業新聞 2021年3月24日付]

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