他社と連携深め社会課題を解決

――高たんぱく食品を多様なカテゴリーで展開する新ブランドに力を入れていますね。

手軽にたんぱく質が摂取できる「タンパクト」シリーズを立ち上げた

「20年3月に『TANPACT(タンパクト)』ブランドを立ち上げました。現在の日本人はたんぱく質が不足しているとの指摘があります。ジムなどで運動する人でなくても、日々の生活でたんぱく質を自然に取りながら低栄養の課題解決につなげるのが狙いです。食品を通して社会の課題解決に貢献したいです」

――他社とも組んで展開していますね。

「冷凍食品やチーズ、チョコレートなど冷凍、冷蔵、常温の3温度帯で展開しています。それでも自社で手がけていない分野が多くあります。そこで山崎製パンや伊藤ハム米久ホールディングスと組み、対象商品をパンやソーセージなどに広げました。現在のラインアップは約30品ですが、100品ぐらいまで増えると面白くなると思っています」

――ESG(環境・社会・企業統治)の取り組みは。

「06年からカカオ農家の支援活動『メイジ・カカオ・サポート』を続けています。この活動は今後も積極的に進めます。カカオ農家の生活向上と、収益性アップに取り組んでいます。また収穫したカカオ豆を原材料として使う企業として、商品の価値を出せるようにすることが使命です」

「二酸化炭素(CO2)の削減や脱プラスチックも目標を掲げて取り組んでいます。工場での再生可能エネルギーの活用も進めます。例えば『明治おいしい牛乳』など小型の紙パックに付属するストローを、植物など生物資源由来のバイオマスプラスチックを5%配合したものに切り替えます。人間が健康になっても、地球が健康でなくなってしまってはいけません」

――外部からの力も感じますか。

「特に海外投資家からの声が強く、投資判断の一番大きな基準がSDGs(持続可能な開発目標)に対する企業の考え方となっています。SDGsの大切さ、なぜ明治がやらなければいけないのかを社員の意識にも浸透させる必要があります」

(聞き手は日経MJ編集長 鈴木哲也)

松田克也
1980年(昭55年)慶大法卒、明治乳業(現明治)入社。12年明治執行役員、17年取締役、18年社長。20年から明治ホールディングス取締役執行役員COO(食品セグメント)を兼務。趣味は料理でぬか床から自分で作る。静岡県出身。63歳
■選択と集中で営業益拡大
明治ホールディングス傘下の明治の2021年3月期の売上高は前期比4%減の1兆100億円を見込むが、営業利益は逆に4%増の910億円と最高益となりそうだ。営業利益は12年3月期の114億円から約8倍となる。スナック菓子「カール」の販売を縮小し、ハムの製造・販売子会社も譲渡。一方で粉末プロテインを生産する倉敷工場(岡山県倉敷市)の稼働や、チョコレートを手掛ける坂戸工場(埼玉県坂戸市)の増強など選択と集中を進めてきた。
20年7月には中国で牧場を運営する会社に出資。生産が拡大しても、生乳を安定調達できる体制を整えた。今後は伸び悩む売上高の拡大が課題となる。
(古沢健)

[日経MJ2021年3月14日付]

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