データを活用し多様な好み対応

――ネットでの購入の場合、顧客の特性をつかみやすくなります。デジタル技術を活用して顧客一人ひとりに応じたマーケティングを展開していく可能性はありますか。

「当社が持っているデータと他社データを活用し、個別にカスタマイズした商品を出すということは、近い将来に実現すると思います。ただ当社はやっぱり大量生産のモデルなのでそこは修正していかなければなりません。少しずつテストマーケティング的な思想を持ちながらコンパクトな投資の仕方も考えていく必要があるでしょう」

「というのは、消費者の好みが多様化し市場が細分化してきているからです。大きなブランドの商品はかつてほど求められなくなっています」

――消費者のブランドへの意識が変わってきたと実感しますか。

「どこでも売っている商品、誰でも知っている商品が今後も強いのかどうか分かりません。商品がメジャーになると、買う方にとってはつまらなくなりかねない。メジャーな商品でよく知られているけれど、ある場所でしか売っていないようなものが好まれます。商品を買うためにそこに行く、そこに行ったら必ず目当ての商品を買うというような。地方の日本酒や味噌などのイメージです」

「明治にもメジャーでマイナーなものが必要になります。とがった商品でありながら顧客の支持をいただいてメジャーになるのが一番いいのです。万人受けするものを明治のブランドと明治の営業力でたくさん売ろうという発想は間違いです」

「『明治 ザ・チョコレート』はもともとエッジのきいた商品として発売しました。20年9月のリニューアルでは、産地別の香味が楽しめるよう商品特徴をさらに際立たせました」

――大企業がとがった商品を開発するために何が必要でしょうか。

「従業員の自主性やチャレンジ精神でしょう。組織が大きくなると失われがちです。そこで社員には『何もしないことはマイナスだ。加点主義でいく』と伝えました。4月から業務目標に、新しい挑戦や改善を記入してもらっています。社員は大企業の中で一つの部品になるのではなく、自分が何をすべきかをしっかりと考えないといけません」

――21年度から新しい中期経営計画が始まりました。次の展開をどう見据えていますか。

「海外売上高比率を26年度までに10%以上にする目標を掲げ、海外投資を進めています。成長の柱は中国でしょう。22年度の下期には天津の牛乳・ヨーグルト工場が稼働します。その後も菓子やアイスクリーム工場が立ち上がります。20年8月には『ザバス』のネット販売も始めました」

「欧州ではダノンと組み、キューブタイプの粉ミルクをテスト販売しています」

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