社長から窓際族 城山三郎作品で悟った部下離反の理由ノジマ社長 野島広司氏

野島広司氏と座右の書・愛読書
野島広司氏と座右の書・愛読書
中学時代に週刊誌の連載小説を手始めに本を多読するようになった。
のじま・ひろし 1951年神奈川県生まれ。73年中央大商卒、野島電気商会入社。78年取締役、91年専務。94年7月より現職。家電販売大手ノジマの成長に尽力。

大学を出て入ったころの野島電気商会(現ノジマ)はつぶれかけていました。誰にも頼れず本を読んで自分で考えることが、決断する際の助けになりました。20歳代から40歳代前半まで、年に150から200冊、合計3000冊くらい読みました。推理小説も多く、高木彬光さんや和久峻三さんはほぼ全て読んだと思います。

読むものは次第に変わり、30歳代くらいから山岡荘八さんの小説が大好きになりました。最初は『織田信長』です。斬新なアイデアは素晴らしい。『豊臣秀吉』『伊達政宗』など、山岡さんのものはほとんど読みましたが、いろいろ経験して、どれか一つ選ぶとなればやはり『徳川家康』ですね。

家康の遺訓の通り「人の一生は重荷を負いて遠き道を行くが如し」です。山岡さんがいいのはストーリーに人情味がある点です。重臣の石川数正が出奔したくだりは、読んでいて涙が出ました。なぜ秀吉の下にはしるのだと、家康は数正を思いやる。昔、私が従業員に裏切られたときと重なります。

戦国時代の武将にひかれたのは人物ものが好きだからです。家康や信長、秀吉などは互いに、どのような気持ちで対したのか、人間関係の機微が学べます。仕事上、似たような状況に出あった時、相手の立場や心理を考えられるようになり、役立ちました。

さらに関心は人物を多数輩出した明治維新や明治に広がる。

近代国家として歩み始めた当時の日本はどのような状況にあったのか。その世界観に共感するのは、司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』ですね。日清、日露の戦争を舞台に、日本人の素晴らしさや生きる道を描いています。多くの人物が登場しますが、中心になるのは秋山兄弟です。兄好古は陸軍の騎兵を率いてロシアと最前線で戦い、弟真之は海軍に入り連合艦隊の参謀として日本海海戦の作戦を立てます。

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