絆や温かみでエモい所沢に

――刀は、西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市)の全面改装のプロジェクトに携わっています。周辺に東京ディズニーリゾートなど競合施設が多いなか、どのように集客していきますか。

「100年続く施設として、西武園ゆうえんちを運営することを目指しています。関東のマーケットを調査した結果、消費者を所沢まで呼ぶ確率が高いのは、USJのような興奮を楽しむアトラクションではなく、人との絆や温かみを感じられる幸福感だと分析しました。心にグッとくるエモーショナルな感動、今風に言えば『エモい』感情を体験してもらうことで、競合との違いを明確にできると考えています」

西武園ゆうえんちの全面改装には映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督も参画する

「開業から70年の歴史を誇る西武園ゆうえんちには、昔懐かしい遊園地の良さが今も残っています。この場所に合った幸福感を感じられる舞台として、『1960年代の懐かしさ』を設定しました。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』に代表される60年代は、大人の世代には幸せの原体験です。当時の黒電話を知らない子どもの世代にはファンタジーの世界ですが、昭和の時代を懐かしく思う親と一緒に、当時の熱気を追体験して楽しんでもらえるはずです」

「もちろん西武園ゆうえんちでも、重要なことは勝ち筋を実現できる組織づくりです。コロナの状況をみながら、できるだけ早い時期の開業を目指しています。開業後は様々な課題が出てくるでしょう。それでも、あきらめずにチャレンジしていく。親会社の西武ホールディングスに喜んでもらうことを考えるのではなく、お客様に選ばれる確率を高めることを意識した仕事を、従業員一人ひとりができるかどうかが重要です」

――沖縄県北部にテーマパークを開業する計画も進めています。

「アイデアというものは、複数の課題をまとめて解決する可能性があります。まずは、沖縄に新しいテーマパークを開業することで沖縄北部の地域振興につながります。さらに沖縄のテーマパークが『観光立国』戦略の変化の起点となり、IP(知的財産)で稼ぐビジネスモデルを日本に根付かせることにつながると考えています」

「日本には世界に誇る漫画やアニメの作品が数多くある一方で、こうした作品の著作権者が金銭的に報われていないと感じています。IPの世界では、日本のクリエーティブ産業はゼロからイチを生み出していますが、イチを100にするマネタイズは苦手なままです。日本の漫画やゲーム、玩具は米国のハリウッドで映画化されました。日本のクリエーターが生み出した作品には大きな価値があり、もっと世界に広げられるはずです」

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