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高齢者も本気の筋トレ マシン使い仲間とフレイル予防

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筋力トレーニングブームが続く中、高齢者向けの本格的な「筋トレ」が盛んになっている。高齢者の身体機能に合わせてきめ細かに指導し、フレイル(加齢による虚弱化)を防ぐのが目的だ。高齢者は動かなくなると筋力が低下しやすい。施設では、新型コロナウイルス感染症の流行下で感染防止対策も進めながら、継続するための模索が続いている。

特別養護老人ホームの城東さくら苑(大阪市)。エアロバイクなどの運動器具を使い、50~90歳代で要支援や要介護の認定を受けた人々が、筋力トレや運動に励む。脚や体幹の筋力を鍛える「機能訓練特化型リハビリテーション」の現場だ。鶴見緑地病院の岩坂寿二名誉院長は「100人規模を収容できるのは日本で約10施設だ」と話す。

大阪市に住む80歳代の女性は、腰痛などがきっかけで城東さくら苑へ数カ月前から通い始めた。週に2回のペースで筋トレや有酸素運動に励む。膝に人工関節を入れているが「死ぬまで自分の足で歩き続けたい」と話す。

城東さくら苑の筋トレでは、フレイル予防を意識したメニューが組まれる。看護師が、筋力トレーニングや有酸素運動が可能かどうかを判断し、運動中も理学・作業療法士や柔道整復師の指導や助言、見守りのもとで、体を痛めにくいように設計した運動器具を使いながら運動する。運動の負荷も、事前に測る筋力などに応じて無理がないように決める。

高齢者の筋トレといえば、いままでは経験則にもとづいた軽度の運動が中心だった。だがこれでは必ずしもフレイル予防には効果的ではないということがわかり始めた。

高齢者はまず加齢で筋肉が減る「サルコペニア」という状態になりやすい。歩く速度や筋力が下がり、疲れやすくなるために運動量が減る。1日に使うエネルギーの量が減るため、食欲が出ずに食事の量が減る。すると慢性的な栄養不足になり、いっそう筋肉が減る悪循環になる。筋力の低下が進むと、日常生活に支障が出るフレイルの状態になる。すると要介護や寝たきりになるリスクが高まる。

日本にはフレイルの高齢者が約300万人いるとの試算もある。防ぐには、科学的な根拠にもとづき、筋トレで筋肉を増やしたり、有酸素運動で心肺機能を強化したりする必要がある。機能訓練特化型リハビリテーションで筋トレと有酸素運動を定期的に続けることで、フレイルの予防や脱却を目指せる。

フレイル予防の高齢者の筋トレは主に3種類に分かれるという。

1つ目は運動機器を使うマシントレーニングだ。負荷を付けた板を両足で押す「レッグプレス」など、脚などの筋肉を鍛える機器を使う。岩坂名誉院長は「ふらつきが減ったり、階段の上り下りが楽になったりする」と話す。

8~10人での集団体操も有効だ。城東さくら苑では、踏み台の上り下りや、天井からつるした赤いロープを使う「レッドコード」で胸の周りや背骨、肩甲骨をほぐす運動などをする。脳の損傷などで体の片側がまひした人向けの専用のベルトもある。年齢が近い「筋トレ仲間」ができ、励みになることも多いという。

さらに個別トレーニングも重要だ。要介護認定を受けた人は、理学・作業療法士や柔道整復師とともにリハビリをするのもよい。要支援認定を受けた人は、健康運動実践指導者の指示のもと、集団で運動するほうが安心だ。

筋トレの成果は出やすい。岩坂名誉院長らは、鶴見緑地病院橋波リハビリセンター(大阪府守口市)で2年間、76~96歳の人々を調べた。車椅子を使う人などを除く70人のうち、44人(63%)が「つまずくことが少なくなった」と答え、27人(39%)が「信号が青のうちに横断歩道を渡りやすくなった」と答えた。

フレイル予防の本格的な筋トレは全国的な広がりを見せている。日高デイトレセンター(群馬県高崎市)がシニア向けのトレーニングジムを併設し、定員も320人と規模が大きい。ほかにも愛知県などに中小規模の施設がある。

だが課題も見えている。高齢者のリハビリを担う全国の高齢者向けのスポーツジムや介護施設からは、まだ科学的なデータが出ていない。けがのリスクが少ない筋トレや有酸素運動をしっかりと進められる施設が増えるためには、既存の施設が運動の有効性を示すデータを集める必要がある。

岩坂名誉院長は「熱心に通って筋トレする人は、健康意識が高い」と話す。一方で、運動や健康寿命の延伸に無関心な人をどう取り込むか、制度や教育の仕組みを考える必要もある。

◇  ◇  ◇

コロナ下で筋力低下リスク 高まる

施設で筋トレに関して、最大の懸念が新型コロナウイルス感染症の流行だ。岩坂名誉院長は、2020年4~5月の緊急事態宣言中に、施設での筋トレを中止した平均80歳の83人を3群に分けて調べた。在宅で運動をしない「低強度群」と、運動か散歩を週2回ほど行う「中強度群」、運動と散歩の両方を週4回以上する「高強度群」だ。

低強度群は体重が平均で0.5キログラム減った。中強度群は0.2キログラム減、高強度群は0.3キログラム増だった。「筋肉の増減が体重に反映された」(岩坂名誉院長)とみている。手足の筋肉量を示す「SMI」という指標は、低強度群が0.13減り、他の2群は0.1~0.15増えた。握力や歩く速度、基礎代謝量も、よく運動する群ほど上がる傾向があった。岩坂名誉院長は「普段から運動しない高齢者は、外出の自粛でフレイルのリスクが高まる」と警鐘を鳴らす。施設の感染防止対策を進め、筋トレに励める環境を整える必要がある。

(草塩拓郎)

[日本経済新聞朝刊2021年3月1日付]

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