既存事業では経営効率重視

――2兆円を超える有利子負債が妨げになりませんか。これから負債を圧縮していきますか。

「現状低い収益力を高めていきます。キャッシュフローを改善させて借り入れを圧縮しながら、新たな投資に回せる状況を築きたいと考えています。M&Aも成長戦略として必要です。一方で既存事業は経営効率を重視していきます」

「例えばGMSでは本部人員を売り場に配置転換するなどして経費を削減し、在庫も圧縮しました。20年春から進めてきたのでまだまだです。20年度は苦しいですが、21年度や22年度には成果が見えてくるでしょう。苦しくても一度形にして循環すれば、GMSの経営効率はこれまでとは違う形になります」

――23年間トップを務めた岡田元也会長の存在感はなお大きいです。やりづらくないですか。

「いや、それはないですよ(笑)。あらゆる場面でコミュニケーションを取っていますから。岡田会長は経営で色々な経験がありますし、私にもやりたいことがあります。うまく融合させながら経営していきます。会長は中長期で俯瞰(ふかん)した目線でグループを見ています。私は最高執行責任者(COO)だから現場のスピード感を持って経営効率を上げ、キャッシュフローを改善し、投資に回せるようにしないといけない」

――アフターコロナの消費環境はどうなると予想しますか。

「コロナで消費者は外食を控え、食事のほとんどを家で食べる様になりました。これが2年続いたとしてコロナ収束後に元に戻るでしょうか。スーパーは好調な今こそ効率化する必要があります。今のうちにコロナ後の世界を想定し、どれだけ準備できるかです」

(聞き手は日経MJ編集長 鈴木哲也)

吉田昭夫
 1983年(昭58年)4月ジャスコ(現イオン)入社。2014年イオンモール常務、15年同社社長。19年イオン代表執行役副社長を兼任。20年イオン社長。商業施設の視察が仕事も兼ねた半ば趣味。健脚で知られ短時間に一気に見て回り事業のヒントを得る。60歳
■予測力より変化力が重要に
 「将来予測がリーダーの大事な仕事。想定外をも想定する予測のリーダーになって欲しい」。2020年1月の社長交代の記者会見で岡田元也会長は、吉田昭夫社長を後継指名した理由をそう語った。だが新型コロナによるパンデミックは誰もが予測できなかった。
 重要なのはむしろ、予想外の事態を受けていかに素早く変化するかだろう。イオンは競合各社に先んじてネットスーパーの注文品をドライブスルー方式で手渡したり、スマートフォンを使ったレジ不要の決済を打ち出すなど、コロナ下で新サービスを次々と実践した。コロナ後を見据えて従業員58万人の巨艦の針路をどう取るか。激変する環境下で今後も迅速な変化が求められる。
(古川慶一)

[日経MJ2020年2月22日付]

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