長野県は総合計画の柱として「学びの県づくり」を掲げていますが、学校教育も教員のみなさんの職業的倫理に基づいて学校の自立を高めることが大切です。中央集権的、官僚的な統制ではなく、現場に近いところで判断する。まさに地方自治の考え方につながる概念だと思います。

『水素エコノミー』は今の化石燃料をもとにした社会が巨大な石油資本のもとでブラックボックス化している姿を描いています。単にエネルギーだけの問題ではなく、社会のあり方が問われているという文明論、社会論です。長野県は一昨年12月に全国の都道府県で初めて「気候非常事態宣言」を出しました。水素はどこにでもあるエネルギー源なので、自律分散型の社会をつくることが、実は持続可能な社会に直結するわけです。

テレビで有名な俳人、夏井いつきさんを「師匠」と呼ぶ。

30歳代後半に愛媛県庁にいた時に、友人に誘われて夏井さんの家で何人かと一緒に句会をしていました。松山市は俳句文化が色濃く残る土地柄ですから。その時、師匠である夏井さんが私につけた俳号が「ガバナー」だった。そうしたら本当に知事になってしまったわけです。『俳諧大要』はその後、購入した本です。

私は劣等生でしたが、俳句をやって良かったなと思うのは物の見え方が変わったことです。俳句心をもって山を眺めると、木の生え方、葉の形、色合いまで意識する。研ぎ澄まされる部分があるのだと思います。

今は俳句を作ることはまったくありませんが、もう少し暇になったらまた作ってみたいですね。

(聞き手は編集委員 谷隆徳)

[日本経済新聞朝刊2021年2月20日付]

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