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夫や父から社長引き継ぐ 想定外の悩み、女性が共有

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NIKKEI STYLE

日本の女性社長比率は8%。半分以上は夫や父など身内から事業を引き継いでいる。想定外で社長になる例が多いのが特徴だ。身近に相談できる人も少ないなか、女性社長同士で情報交換や相談し合えるコミュニティーづくりが広がっている。

リフォーム会社、キッチンアンドリビング(千葉市)を率いる小泉裕美さんが社長に就任したのは3年前。創業社長である夫が亡くなる20日前のことだ。2人の子の育児とパート中心の生活だったが、4年の闘病の間に事務や経理などを手伝うようになった。途中からは社員として働いていた。

とはいえ、社長を継ぐことは考えられなかった。仕事一筋の夫は復帰を目指して治療に臨んでいたし、家族や社員も元気になると信じていたからだ。だが、最後の入院の前に夫婦で社員と話して交代を決めた。長期案件を複数抱え、1日も現場作業を止められない。「印鑑が押せなくなる事態になったら困ると考えた」と小泉さんは振り返る。

社長になってからは目の前の仕事に集中するしかなかった。夫のような経営者になりたいとも思ったが、性格もキャリアも全く違う。ならば社員が働きやすい会社を目指そうと考えた。ホームページをつくり、施工物件や会社・社員の資格などを可視化し、ばらばらだった仕事の流れの統一化を図った。

最近は買い取り再販など新事業にも取り組む。コロナ禍だがスタッフの増員も決め、社員1人あたりの負担を軽減しようと試みる。

社長業は決断の連続だ。思いがけない出来事に悩む。自営業を営む実兄に相談すると「想定内だよ」といわれ、ほっとすることもある。迷い苦しんだ経験を同じ境遇の女性と共有したいと考え、事業承継した女性社長のためのサイト「女性社長のココトモひろば」に登録した。

1年前に立ち上がったココトモひろばでは不安なことを調べ、相談できる。例えば「社長である夫が長期療養中で業績は衰退の一途。他分野への参入を検討しているが何をどのように進めればいいのか」という相談にベテランの女性社長が答える。現在は49人の女性社長が登録し、毎月約5500人が閲覧する。

運営者の1人であるコラボラボ(東京・千代田)社長の横田響子さんは「女性は突然事業を承継するケースが多く、誰に相談すればいいかもわからないことが少なくない」と話す。

エヌエヌ生命保険が昨年夏、中小企業の女性経営者に聞いたところ、事業承継で社長になった人の57%は後継者になることを「想定していなかった」と答えた。承継にあたり事前の準備期間が「(ほとんど)なかった、突然だった」と答えた人は45%に上った。経営者となる備えが不十分で孤独になりがちな女性社長。互いに助け合おうという動きは広がりつつある。

精密板金加工を手掛ける山崎製作所(静岡市)社長の山崎かおりさんは、父から会社を継いで10年余りだ。全国各地で講演すると相談したい人が長い列をつくる。承継を考える女性や娘に継いでほしい父親など様々だ。「『初めて話します』という人もいる。誰にも相談できず悩んでいる人が多いと感じた」と山崎さん。昨年春、「静岡県女性経営者団体A・NE・GO」を立ち上げた。

発起人の1人、広告企画会社サンディオス(静岡県沼津市)の津賀由布子社長によると「交流というより、よろいを脱いで実体験を語り合う生々しい場」。経験や悩みを共有し、共に成長することを目指す。山崎さんは「経営を勉強せず社長になり自信を失う人もいるが、進みながら強くなればいい」とエールを送る。

帝国データバンクによれば、2020年4月末時点で社長の女性比率は8%と10年に比べて1.2ポイント上昇した。そのうち同族承継は51%で、男性社長(39%)に比べ多い。経営者の高齢化で妻や娘が引き継ぐ例が増えることも予想される。

昭和女子大学は18年、「女性事業継承者育成プログラム"跡取り娘"人材育成コース」を始めた。社長を継ぐ予定の女性らは半年で組織マネジメントやファミリービジネスの心得を学ぶ。

目玉は先代や他社の先輩経営者へのインタビューだ。創業の精神などをじっくり聞く。その後自分がどんな会社をつくりたいかを発表し、経営者として確固たる意志をもつよう指導する。

プログラムを監修するキャリアカレッジ学院長の熊平美香さんは「日本の問題は社長が後継者に自分の思いを話さないこと。後継者は創業者の思いを言語化してつないでいくのが役割」と指摘。その上で「男性は小さい頃から周りにいわれて後継者を自覚するが、女性の場合は自ら覚悟することが難しい」と話す。

中小企業庁によると、後継者不足などにより休廃業する企業の61%が黒字だ。日本経済の活力をそがないよう、妻や娘がスムーズに事業承継できるよう支援する余地はある。

創業女性増にも期待
エヌエヌ生命保険の調査では、中小企業の女性経営者の3人に1人が「男性社長より業務上不利」と感じている。具体的には「信用がないと外注先に前金での仕事を強いられた」、「女とは相性が悪いという理由で断られた」など偏見に基づくエピソードが挙がった。女性比率がわずか8%では、業界の賀詞交換会などに出席しても居心地悪いだろう。
帝国データバンクによると現女性社長の多くは同族承継だが、直近1年間に就任した人に限って見ると様子が異なる。創業(63%)がその前年の41%を大きく上回り、最も多くなったのだ。承継をきちんと準備することも大切だが、起業や内部昇格によって今後女性社長が増えることで、偏見も解消されていくと期待したい。
(女性面編集長 中村奈都子)

[日本経済新聞朝刊2021年2月22日付]

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