コンサルティングファームの就職人気が止まらない。トップ校が対象の人気ランキングでは、大手総合商社や有名メーカーなどを差し置いてコンサルが上位を独占した。激務だけど若くして高給取り――。世間ではそんなイメージだが、実態はどうなのか。探偵団が実際にコンサルに就職した若手を取材し探った。
「顧客企業から感謝のメールが来ると、頑張ってよかったなと思う」。中田誠さん(仮名、25)はある外資系総合コンサルで活躍する入社2年目。企業のサプライチェーン(供給網)に関するコンサル業務に携わる。
例えば日用品メーカーが原料サプライヤーとやりとりをするためのシステムの選定に携わった。他にも化学や産業機械など様々な業界のメーカーと仕事をしてきた。
「会議への出席と資料作りで一日の大半が終わる」。会議はクライアントと一緒に週2~3回、2時間程度。そこでは顧客の要望に応えるため、どのような手段をとって解決できるか提案が求められる。それ以外の時間は先輩と相談したり、「パワーポイント」を使って資料を作ったりする。
仕事はプロジェクト単位で動き、大体1~2カ月で変わる。様々な会社の人と仕事ができるのが醍醐味だ。
「同期約10人辞めた」
労働時間は他業種と比べればやはり長めだ。これまでに日付が変わって午前1時に帰宅するような日々が1カ月半続いたことがあった。
そんな激務から退職者は多い。中田さんの同期は2年目の現段階で約10人が辞めた。「上司の圧力に耐えきれずストレスで体調を崩し休んでいる社員もいる」という。
中田さん自身も仕事ができないと就業中に泣いたこともあったという。時間と労力をかけてつくって上司に提出したパワーポイントの資料が、翌朝の会議では全く別のものになっていたことも。
だが、その分の報いはある。給料は年俸制で1年目は固定ボーナスも入って年収530万円程度。成績によって変動するボーナスが加算され、2年目は650万円前後、3年目は740万円前後になるという。国税庁によると、25~29歳の民間企業に勤務する人の平均年収は369万円。その額の約2倍にあたり、好待遇だといえる。
生活にも変化が。「家族で家事の分担について大げんかをしたとき、パワーポイントで資料を作り、分担のシステムを提案した」。生活の課題をコンサルのように論理的に解決しようとするクセがついたという。
転職前提に就活
就職情報サイトのワンキャリア(東京・渋谷)がまとめた東京大、京都大を22年に卒業する予定の学生における就職人気ランキング。上位10社のうち7社を一般にコンサルに分類される企業が占める。

なぜ人気なのか。「転職を前提に就活しているからではないか」。ワンキャリアの寺口浩大PRディレクターはこう分析する。