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女性STEM人材を増やせ 技術革新の恩恵広く社会へ

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NIKKEI STYLE

STEM(科学・技術・工学・数学)分野で活躍する女性を増やそうと、理工系の大学や団体などが地道な活動を続けている。イノベーションの恩恵を社会に偏りなく広げるには、女性のSTEM人材育成が不可欠だ。その将来性や魅力を伝えようと新型コロナウイルス禍でもオンラインでイベントを開いたり、動画を作成したりと力を入れる。

「工学部を選んだ理由を教えてください」「受験勉強のコツは」。東京大学工学部は2020年12月下旬、関西の高校に通う女子生徒を主な対象にオンラインイベントを開いた。現役の研究者や大学院生と交流を深める目的で、高校生は約40人参加した。講演に続く談話会では、進学に関する質問も相次いだ。

講師役として参加した同大修士課程1年の鎌田麻衣子さんは「女子は少ないから覚えてもらいやすい」と率直な印象を伝えた。博士課程1年の石田美月さんは「研究者としての能力に性差はない」と強調。「研究室で食事をするとき女子がひとりなのはちょっとさみしい。ぜひ、門をたたいて」と後輩の背中を押した。

東大工学部は従来、オープンキャンパスなど対面のイベントを通じて女性研究者の働き方やキャリアプランなどを紹介してきた。今回はコロナの感染拡大によりオンライン開催とし、これまであまり手が届いていなかった関西などの女子生徒に対象を絞り込んだ。

東大工学部の学生は20年5月末時点で2109人いるが、女性は199人と1割に満たない。大学院でも修士・博士課程の3404人のうち、女性は2割弱の595人だ。熊田亜紀子教授は「マサチューセッツ工科大学は女子学生が4割。東大だけでなく、日本の大学は理工系の女性が極端に少ない」と危機感を抱く。

学校基本調査によると、保健や農学も含めた理系の学部生の女性比率は38%。工学系では16%にとどまる。理系を目指す女性は増えてはいるが、国家資格に直結する医薬系が多い。

東大工学部は首都圏出身の男子学生が多数を占める。熊田教授は「理工系の学部を出た後の女性のキャリアプランが社会に十分浸透しておらず、周囲に進学を後押しする大人が少ない」と現状をみる。

女性が理工系に少ないことは女性に不利益をもたらす。例えば、シートベルトは男性の体形を元に設計されており、交通事故では女性の方が重傷を負いやすい。体調管理アプリでは血圧や心拍数だけでなく、生理周期など女性特有の数値の把握も求められるが、開発者が男性だけだとこうした視点を取り込むことは難しい。

労働力人口が減るなか、生産性向上という観点からもSTEM分野の強化は必要だ。イベントを企画した小林肇准教授は「均質な集団では社会のさまざまな問題を解決できない。多様な人材が欠かせず、女性の参画は重要だ」と話す。

問題意識は全国の理工系の大学で共通する。名古屋工業大学は「女性が拓(ひら)く工学の未来」と題したサイトで女子中高生向けに動画を配信する。学生の「工学に女性目線が必要な理由は」との問いに、「ものづくりや研究は、性別を含めいろいろな目線があった方がよりよいものができる」と准教授が答える場面を盛り込むなど、親しみやすさを感じてもらう。

加野泉ダイバーシティ推進センター特任准教授は「数学や物理など理系の受験科目に苦手意識を持つ前に、モノ作りの楽しさを伝えたい」と強調する。

同大では女性の卒業生も地元の有力企業で働いている。14年に活動を始めた女子学生の団体はトヨタ紡織中部電力などの企業やOBの協力を得て、交流会や会社見学会を続けている。今年度はオンラインで約40人の学生が卒業後のキャリア形成などを聞いた。

大学だけではない。一般社団法人Waffle(東京・渋谷)は女子中高生らを対象としたアプリコンテストを実施するほか、オンラインでのプログラミング講座を提供する。IT(情報技術)の技術者を将来の職業の選択肢に入れてほしいと考えるためだ。

成長分野のIT産業は慢性的に技術者が不足している。「女性が活躍する余地は大きい」。田中沙弥果代表と斎藤明日美共同創業者はこう指摘する。コロナ禍による在宅勤務の拡大で、自宅でシステム開発が可能な企業は増えている。スキルを磨いておけば、出産、育児を経ても働き続けられる環境が整いつつある。

だが、周囲にIT志望の同性がいないと、プログラミングに興味を持っていても諦めてしまう例は多い。親や教師に工学部の道を後押ししてもらえないこともある。

田中さんは「孤独を感じている生徒に居場所をつくり、学ぶ機会を提供することが重要」と話す。中高時代から理工系志望の女子生徒のコミュニティーづくりを進めることは、女性のSTEM人材育成に有効といえそうだ。

企業の研究職、魅力発信を
理系の女性を示す「リケジョ」という言葉が生まれて久しい。21年4月に始まる第5次男女共同参画基本計画では「科学技術・学術における男女共同参画の推進」も一つのテーマだ。日本では研究職・技術職に占める女性の割合は17%にすぎない。海外でも女性の研究者は男性より少ないが、英国(39%)や米国(34%)などと比べても日本は心もとない。
日本には大学などに29万人、企業に56万人の研究者がいる。STEMの女性人材を増やすには、企業にひき付けることも必要だ。革新的なサービスや技術開発は多様な人材がいてこそ。STEM人材が活躍しやすい土壌づくりだけでなく、学生に仕事をわかりやすく説明するなど、企業には一層の努力が求められる。
(藤井寛子)

[日本経済新聞朝刊2021年2月8日付]

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