冬でも男性にも人気 池袋の百貨店に登場「ミニソフ」
コンビニエンスストアのミニストップはソフトクリーム専業店のMINISOF(ミニソフ)で「東武百貨店 池袋店」(東京・豊島)を2020年12月に開業した。20年春に強みのソフトクリームに特化して始めた新事業のミニソフが、百貨店内に進出するのは初めて。新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店に逆風が強まる中、各種の工夫で乗り越えようとしている。
東武百貨店池袋本店の地下で飲食店が集まる「eatobu(イートーブ)」の一角にミニソフの新店がある。まず目を引くのはデザインで、ミルクの白と、コーンの様に格子模様のベージュでまとめた。堀貴広ソフトクリーム事業本部長は「遠くからでも一目でソフトクリームの店だと分かりやすくした」と話す。
20年春にミニソフはスタートした。ミニストップは主力のコンビニでセブン―イレブン・ジャパンなど大手3社の背が遠い。一方で1980年の創業当初から主力商品である店内製造のソフトクリームは他社にない商品で根強いファンも多い。ミニストップの強みを「しぼり出す」形でスピンアウトさせた期待の事業だ。
20年を通じて全国に出店を進め、「東武百貨店 池袋店」で13店目になる。これまでの活動で得たノウハウを集大成させた位置づけになる。
まず、ミルクとコーンを模した特徴的なデザインは名古屋市内の店舗で先行したものを関東圏で初めて導入した。「東武百貨店 池袋店」は広さ約35平方メートル超の省スペースながら、座って食べれるイートインスペースも初めて併設した。「椅子に腰掛けてゆっくりと味わいたいというニーズに対応した」(堀本部長)
ミニソフはソフトクリームの売れ行きが鈍る冬場でも様々なアイデアで需要の開拓に動いている。20年9月からは温めたスフレチーズケーキやパンケーキにソフトを添えて提供する「ケーキソフトクリーム」(540円)を発売。10月にはミニストップで人気のソフト商品「ベルギーチョコ」の原料を牛乳と組み合わせた「HOTベルギーチョコ」(490円)といったドリンク商品も投入した。
さらに12月にはバナナとソフトクリーム、牛乳と組み合わせた「クリーミーバナナジュース」(390円)も発売した。大ターミナル駅の池袋には女性客以外に男性の会社員も多い。こうしたドリンク系の新商品は買ってさっと飲めるため、男性客にも好評という。
新型コロナは多くの飲食小売店にとって試練となり、ミニソフも影響を受けた。当初は20年前半までに100店体制を目指していたが出店ペースには遅れが出ている。混雑する自宅外で食べることへの消費者の受けとめも変わった。そこでドライアイスを付けて自宅でソフトクリームを食べられるようにしたテークアウト専用のメニューも用意した。
今シーズンは冷え込みがきつく、目下の新型コロナ「第3波」は収束の兆しも見えない。堀本部長も「商業施設の人出が減り、ミニソフの売り上げに影響は出ている」とする。今後も創意工夫でどれだけミニソフの存在感を示せるか。「東武百貨店 池袋店」は消費動向の展望を占う意味でも注目されそうだ。
(古川慶一)
[日経MJ 2021年2月3日付]
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