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映画「すばらしき世界」 監督と主演が語る不寛容社会

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NIKKEI STYLE

人生の大半を刑務所で過ごした男がシャバに出て、現代を生きる。実直すぎる男の苦闘に不寛容社会を映し、希望を探る映画「すばらしき世界」(11日公開)。監督の西川美和と主演の役所広司に聞いた。

不寛容社会に希望を探る 監督・西川美和

 原案は佐木隆三著「身分帳」。初の原案物だ。

一人の男が刑務所から出た後にもう一回自分の人生をやり直そうとする。たったそれだけの小さな物語にたくさんのドラマがある。

起こることはささいなことの積み重ねで、日常の手続きがほとんどだ。仕事を得るために何をするかとか、申請が通らないとか、人間関係の空気を読み損ねるとか。ある意味、元服役者でなくても、そういうつまずきはわかる。生きていくための手続きをとるということがいかに難しいか。

 元ヤクザの三上は弱きを助ける正義漢だが、すぐ頭に血が上る。

小さな事で腹を立て、自分の思う正義に突っ走る。でも基本的に弱い者に優しく、権力をもつ者に刃向かう。お人よしでもある。映画的なヒーロー像に近い。

でも映画の中のヒーローのような正義漢では世の中を渡っていけない。許せないやつをとっちめていいのは映画の中であって、今私たちが住む世界では、ほかに穏便で賢いやりくりをしないといけない。やっかいを起こさず、事を荒立てず、大きな声を出さず、スマートに生きることが、マナーとして求められている。

「身分帳」が書かれた昭和の終わり以上に、今の時代は、こういう人がどう生きていいかわからない。そんな混乱はあると思う。

 行き場のない人が映画のあちこちにいる。

社会のシステムとしては、そんな人を雇用したり、訓練したりする努力はしていて、原案の時代と変わってきている。でもシステムが実際うまく機能しているかというと、それは別だ。

色々な立場の人、境遇の人を、どの共同体も受け入れ、何の抵抗感もなく共生していける社会になっているかというと、そんなことは全然ないだろう。

 逆に不寛容になった。

人々の潜在的な懲罰意識が高まっている。なぜだろう。そんな懲罰感情をもつ人がすべて苦しい生活をしているかというと、そうでもない。それなりの暮らしをしている人たちが、ストレスをためて、抵抗できない存在とか、弱い者を罰する欲求をぶつけている。

レールを外れないように懸命に気を回し、ルールを守り、マナーを守り、人としての節度を守っている人たち自身が、充足感とか幸福感を感じられていない。だから割に合わないという感じがあるのだろうか。

 ただ希望はある。

だけど、そうは言っても人間捨てたものじゃないというのが、この作品の鍵だと思う。どんなに世の中がすさもうと、そればかりではないのが人間だと思う。

時と場合によるかもしれないけど、人は人に案外優しい言葉をかけたり、手を貸したりする存在でもあり続ける。どんな状況でも人はつながる。そこを見逃さないで、見ていただきたい。

まっすぐ過ぎる男の魅力 主演・役所広司

 自然な演技が持ち味。激高型の役は珍しい。

こういう感情の起伏が激しい役の方が楽しい。寡黙で抑え続ける表現よりは、わかりやすい。

でもわかりやすさの中に複雑な感情も動いている。役自身が気づかないような細かな起伏がある。突然怒ったようにみえるけど、この人なりの助走はある。

自然に見えるのが一番の目標だ。演じている時に自分でリアリティーを感じないといけない。ギクシャクすると、見る人もギクシャクするのだろうと思う。

 主人公の三上をどう思うか。

原案より好感のもてる人物に近寄った。周囲の人々は、真っすぐ過ぎる男に困りながらも、そこに魅力を感じて手を差しのべる。だから何か人間的な魅力が出るといいなと思った。監督も重苦しくなく、ユーモアのある映画にしたいというので、ユーモアにつながる人間臭いところを探った。

 三上には嘘がない。

そこが周りがひかれるところ。観客にしてみると、真っすぐな正義感を目の当たりにすると、自分の生き方に後ろめたさを感じたりする。曲がった物は許せない、見えないふりや聞こえないふりをして生きることができない人間だから、生きづらかったと思う。でも彼は不幸だっただけではない。今度こそ堅気になろうと思っていた人が、よい出会いをした。それだけでも幸せだったのかなと思う。

(聞き手は編集委員 古賀重樹)

[日本経済新聞夕刊2021年2月1日付]

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