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麻酔わかる看護師、患者も医師も安心 広がる養成の場

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NIKKEI STYLE

麻酔科医の不足が指摘される中、専門的な知識・技術を学んだ看護師が手術中の麻酔管理や、術前術後の患者ケアなどを担う取り組みが注目されている。「周麻酔期看護師」と呼ばれ、現在、聖路加国際病院(東京・中央)や横浜市立大病院など複数の医療機関での導入が始まっている。

「周麻酔期看護師がいてくれることで、本当に医師しかできない業務に集中できる。患者の安全を守ることにもつながる」。日本周麻酔期看護医学会代表理事の長坂安子・東京女子医大教授(麻酔科学)は強調する。

医療現場では、心臓血管や脳神経外科、呼吸器外科などの分野で、難度の高い手術件数が増加している。高難度手術では検査項目も多く、血圧管理なども細かく行う必要があり、麻酔科医の業務量も増える。麻酔科医は年間250人ずつ増加し、現在8000人ほどの専門医がいるが、それを上回るペースで需要が増しており、医師不足感が強い分野の一つだ。

周麻酔期看護師は、麻酔前後の患者のケアに関わり、麻酔科医の直接指示を受けて一部の医療行為も行う。麻酔について専門的に学んだ看護師が手術室にいれば、業務を移管したり、共有したりでき、医師は医師にしかできない業務に専念できる。

2010年から大学院の修士課程で養成を開始した聖路加国際大学では20年3月までに21人が修了した。系列の聖路加国際病院には現在7人の周麻酔期看護師が在籍する。そのうちの一人、麻酔科の吉田奏周麻酔期看護師チーフは、もとは同病院の手術室看護師として勤務していたが、大学院で2年間、座学と実技を学び、院内認定看護師として活躍する。

例えば、手術前の患者の診察補助や麻酔についての説明を看護師がまず行い、麻酔科医はその後により高度な追加診察などを担う。「看護師が患者と家族が抱える不安や心配事を聞き出し、丁寧に患者の理解度に合わせた説明をすることで患者の不安を軽減することができる」と吉田氏は話す。麻酔科医と看護師の複数の目で患者の状態を評価でき、医師は重症患者など説明に時間を要する患者により多くの時間をかけられるようになる利点もある。

「診療の補助」の範囲内であれば一部の医療行為も行える。手術中は気管チューブの挿入や抜去、人工呼吸器の設定変更、薬剤の投与などの医療行為も、医師の直接指示のもとに可能だ。必要に応じて看護師が患者状態を評価をし、投与すべき薬剤と量を医師に提案することもある。

横浜市立大も16年から周麻酔期看護師の養成に力を入れる。横浜市立大病院の後藤隆久病院長は「神奈川県内の麻酔科医約600人の4割が(横浜市大の)医局に所属する。医師を関連病院に供給し地域医療を支えてきたが、手術件数も増え、麻酔科医数が不足している状況だった」と話す。

麻酔科医が足りない病院から看護師を募り、周麻酔期看護師として養成して戻ってもらう試みを始めた。これまでに関連病院外から来た看護師を含め5人が卒業。21年春には5人が卒業予定で、そのうち関連病院から入学した4人が予定通りそれぞれの病院に戻る。

実際、周麻酔期看護師が配置されたことで麻酔科業務が効率化した。病棟からの問い合わせ対応や手術準備、電子カルテへの入力など、医師が夜になってから行っていた業務を日中に行えるようになり、追加検査の指示が遅れて手術延期となるケースも減った。麻酔科医の残業時間は月20時間ほど減少したという。

医療の質が向上する効果もあった。18年7~12月の同大学の調査では、看護師による診察と麻酔方法の説明を受けた後に麻酔科医の診察を受けた患者では、麻酔科医の診察のみを受けた患者と比べ、心配や悩み、不安が軽減したと回答した人の割合が高く、満足度も高まったという。

日本周麻酔期看護医学会は民間資格化を目指しており、今後、全国の大学院に共通カリキュラムを作成して教育水準を満たす周麻酔期看護師を養成・認定したい考えだ。

2年間、大学院に通い、医療現場から離れるのが難しい看護師も少なくない。働きながら通える社会人向け大学院の創設にも取り組んでいる聖路加国際大名誉教授の宮坂勝之・和洋女子大学長補佐は「麻酔科医の手や目が届かないところで、患者の思いや必要をくみ取る周麻酔期看護師の役割を一層理解してもらう必要がある」と話す。

◇  ◇  ◇

業務移管・共有で議論 認定制度も

2024年度から医師の残業規制が始まる。医師の働き方改革を進めるには、看護師など他職種への業務移管・共有化が不可欠だ。厚生労働省の検討会で移管すべき業務について議論が行われてきた。

看護師の地位向上ややりがいなどの観点からも、看護師の業務拡大の議論は長年続いている。兵庫県の明石医療センターも看護師の業務拡大を検討し、麻酔業務に携わる看護師の養成に力を入れる病院の1つ。「院内で議論した結果、看護師にできる業務がもっとあると考えた」(集中治療科の多田羅康章主任部長)。大学院での教育や一部の医療行為の研修を受けるなどした上で、院内の研修で麻酔科医とともに1年ほどをかけて200~300例の実技を経験する。

麻酔領域に携わる看護師の育成を巡っては、周麻酔期看護師のほかに、日本看護協会が「手術看護認定看護師」、日本麻酔科学会などが「周術期管理チーム」などを認定している。厚生労働省も研修を受けた看護師に、麻酔管理などの「特定行為」を可能にする制度を始めている。

(満武里奈)

[日本経済新聞朝刊2021年2月1日付]

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