補聴器販売、とことん寄り添う 家族との会話を後押しリオン 鈴木奏子さん

リオンの鈴木奏子さん
リオンの鈴木奏子さん

リオンは自社製の補聴器を扱う専門店を全国展開している。補聴器は利用者一人ひとりの聞こえ方に合わせた、きめ細かな調整が必要で、そのための専門スタッフをそろえているのが同社の強みだ。旗艦店「リオネットセンター」(東京・渋谷)で働く鈴木奏子さん(26)は、顧客にとことん寄り添う営業スタイルで成果を上げる。

「お客様は家族だと思って接しています」。入社4年目にして営業力に一目置かれる鈴木さんの心構えだ。補聴器を求める来店客には、まず書面で聞こえ方のアンケートをとる。その回答を参考にしながら、本人に「聞こえ方」の具体的な状態を様々な角度から聞き取っていく。聞き取りで何より欠かせないのが、家族のような信頼関係だ。

ヒアリングの際には、来店者の居住環境や家族構成なども話してもらう。自宅でテレビの音が聞こえにくいと悩んでいる人には、テレビとソファの距離やテレビを見る際の体の角度、室内の広さなどを教えてもらう。会議中に相手の声が聞き取りにくいと困っている人には、よく使う会議室の広さや参加人数、座る場所も尋ねる。

こうして得られた情報と聴力測定のデータを踏まえて、補聴器の調整を進める。併せて「体の向きをこうすると、テレビの音がもっと聞きやすくなりますよ」といったアドバイスも忘れない。

鈴木さんに補聴器を販売する際の難しさを聞くと、「音の聞こえ方が人によって全く違う」からだという。そのため、音の高さごとにボリュームを変えたり、雑音や衝撃音を減らしたりといったオーダーメード型の微調整が欠かせない。

目に見えるものと違い、音の世界を言葉で表現するのは一筋縄ではいかない。例えば「どんな風に聞こえますか」と尋ねると「言葉がゆがんだり、ひずんだりする感じ」「高い音が割れるイメージ」「トンネルの中のように響いて聞こえる」といった具合に、人によって違う表現が返ってくる。

調整のプロセスでも苦労は絶えない。例えば「音が割れる」といった症状を訴えて補聴器を買いに来た顧客に対し、最初は音割れを防ぐために高い音のボリュームを下げて提供したところ、しばらくして「言葉が聞き取りづらい」との声が届いた。高い音を抑えると、子音の一部が聞こえにくくなる場合がある。高い音を抑えつつ、言葉が聞き取りやすくなるバランスを探って調整し直した。

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