カジダンへの道 共働き育児は「70点で満点」
ソウ・エクスペリエンス社長 西村琢氏
社長をしているソウ・エクスペリエンスは体験ギフトの企画・販売が主力事業。時間や場所に制約がある人でも能力を生かせるよう、柔軟な働き方を取り入れています。2013年には「子連れ出勤」を認めて話題になりました。僕自身にとっても育児は、自分の生活と切り離せないものです。
小学校4年生、1年生、5カ月の3人の息子がいます。妻も数年前に食品関連で起業したため、日々の予定は常に「カオス」状態。子供たちの学校や習い事、一時保育のスケジュール……夫婦で日々予定を共有し、分担していますが、日にちを勘違いして慌てる、ということも日常茶飯事です。
先日は妻が家の鍵を忘れました。僕もすぐには帰れなかったため、妻は子供もろとも家の中に入れませんでした。長男はオンラインの習い事があります。妻は仕事場に移動し、急きょ教材を印刷し、長男は仕事場のパソコンで習い事を受講し事なきを得ました。このような想定外の出来事に慌てることもありますが、その都度、夫婦で対処法を考えています。仕事でトラブルが起きたとき、解決方法を編み出して乗り越えていく感覚に近いのではないでしょうか。
家事や育児は「できるほうがやる」スタンス。ただし料理は妻が上手なので、完全に甘えています。一方、家の中が散らかっているのは僕の方が先に気になるので、率先して片づけます。
次男が誕生したころ、神奈川県の逗子に引っ越しました。海に近く子供たちは外を走り回るので、家の中はどうしても砂だらけに。おもちゃや本も散らかります。子供や妻には「出した物はしまって」とある程度は言いますが、要求しすぎるのは酷。気になる自分がやるほうがいいと感じています。
仕事でもそうですが、人はできれば得意なことをやったほうがよいと思います。周囲には要求しすぎない。そして100点満点中70点くらいで満足するようにしています。家など空間が片付いて、きれいであることはもちろん気持ちよいですが、人間関係の心地よさの方が大事だからです。
僕は「わだかまり」がある状態が好きではありません。わだかまりがあると、いろいろなことが滞ります。けんかして仲直りしたつもりが納得してなかったり、家族にイライラしたり……背景にはだいたい「わだかまり」が残っています。誰が相手でもできるだけ、わだかまりがない状態を目指しています。そのほうが気持ちが健全でいられるからです。
このコラムでは家事や3人の子育ての話を中心に、「わだかまり」が少ない組織運営についても考えていきたいと思っています。
1981年東京都生まれ。慶応大学卒業後、2005年に体験ギフトの企画販売会社ソウ・エクスペリエンスを設立。神奈川県逗子市在住。妻、10歳長男、6歳次男、0歳三男の5人暮らし
[日本経済新聞夕刊2021年1月26日付]
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