「生活よりよく」 地域全体を視野

――デジタル化でどのようなホームセンターを目指しますか。

「店舗では幅広い商品を扱っているので、目当ての品がなかなか見つからないとお客さんは煩わしく思うでしょう。カインズアプリがあれば、売り場の場所と在庫が簡単に分かります。デジタル化で課題が解決できます」

「これまでお客さんと向き合えるのは店舗に限られていました。カインズは『生活をよりよく』とのビジョンを掲げています。そこで、お客さんが家事やDIYをより楽しんでもらえるように、20年6月に『となりのカインズさん』という自分たちのメディアを立ち上げました。例えば、野菜の苗を買ったお客さんには、水やりや土について分かりやすく伝える内容を発信しています。アクセス数は100万を超えました。ペット関連でもリアルとネットの双方で飼い主のコミュニティーを作りました」

展示会での意見を重視 生活目線から発想

――新しい形のモールも始めました。

「くみまちモールあさか」内のカインズ朝霞店にはDIY工房を備える(埼玉県朝霞市)

「20年11月に開業した『くみまちモールあさか』(埼玉県朝霞市)は、経済的価値と社会的価値の両立を目指しました。テーマは『地域のコミュニティー化』です。地方は商圏人口がじりじり減っていて、活性化に何ができるのかを常に考えないといけません。そこでカインズのほかにスーパーや医療、幼児教育の施設を導入しました。日常の買い物の中に医療や子育ての場があり、雇用も生まれます」

「くみまちモールを1つの解として、他の店舗にもこの考え方を落とし込んでいきます。これまでは競合や商圏ばかりを見て新規出店してきましたが、全国を見渡すと空白地帯はそれほど残っていません。単純に出店しても競争が激化するだけです。大型店を単純に出店して規模を追求しようとする従来の発想は、変える必要があります」

――PBにも力を入れています。

「僕らは『くらしに、ららら。』というキャッチコピーを使っていますが、日々の暮らしを便利に変えるアイテムを増やしています。毎年開く商品展示会には、全店舗からパート社員も参加します。バイヤーが商品の説明をするのですが、バイヤーがたじたじになるぐらいの厳しい質問や的確な意見が出ますよ」

「この展示会が、商品の最後の一工夫につながります。意見を言うのは店舗メンバーでありながらも一人の消費者で、おのずと会社全体の商品開発力が上がります。決してハイテクな技術を使っているわけではありません。例えば、取り込みやすい洗濯ハンガーも生活目線から生まれました」

「これまでSPA(製造小売り)と言ってきましたが、今は『SPAプラス』と言っています。生産拠点や作り方、材料の選定などの過程にもより関わっていきます。倉庫も2カ所新設し、サプライチェーン全体のコストも抑えます」

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