デジタルで客に寄り添う 小売りの枠超えた企業にカインズ 高家正行社長

新常態の生活を模索する日々、ホームセンター業界が元気だ。特に業界首位のカインズはプライベートブランド(PB)商品が堅調で、2021年2月期の売上高は過去最高になる見通しだ。ネットやロボットの活用など店舗のデジタル化も進む。高家正行社長は「小売業の枠を超えた企業になる」と、新たな企業像を模索する。

DXで会社刷新 パーソナル対応

――新型コロナウイルスの感染拡大の前から、店舗のデジタル化に取り組んできました。

「19年からデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを始めましたが、DXというより『次のカインズを作ろう』と話してきました。DXのみに焦点を絞るのではなく、カインズ全体を作り替えようと考えていました。商品から店舗、会社の文化まで全てを作り替えようと」

「DXを推進するにあたって、米ウォルマートやホームセンターのホーム・デポなどの事例を研究しました。分かったのが『デジタルはあくまでも道具。何をしたいのか明確にしないといけない』ということです。目的を明確にするためにストレスフリー、パーソナル、エモーショナル、コミュニティーといった顧客と接する上で重点テーマを設定しました。店舗のデジタル化はそれらを実現する上での取り組みです。コロナ前から準備してきたことが結果的にお客さんの支持を集めました」

――DXの一つ、専用アプリは顧客の囲い込みを狙ったものですか。

「囲い込みというよりは、個別のお客さんに対応するパーソナル化ですね。社内では『昔の魚屋の店主になろう』と言っています。昔の魚屋の店主は、お客さんの家族構成に合わせて魚をおろしてくれました。昨日はサバを買ってくれたから今日はアジを勧めるなど、購買履歴や趣味嗜好もしっかり把握していました。カインズだって昔はそうでした。ただ、チェーン展開すると、標準的なオペレーションの要素が強くなります。そこでアプリを使えば、このパーソナル化ができるよねと。昔の魚屋の店主のようになれます。結果として囲い込みにつながるのかもしれませんが、目的はパーソナル化でお客さんに寄り添うことです」

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