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脚の静脈瘤、「のり」注入で治療 痛みや合併症少なく

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NIKKEI STYLE

脚の血管がふくれてこぶのようになるのが下肢静脈瘤(りゅう)だ。女性が悩むケースが多いほか、ひどくなると痛みやこむら返りなどを起こしやすくなる。静脈に医療用の「のり」を注入して塞ぎ、こぶをつぶす「グルー療法」が2019年12月に健康保険適用となり、注目されている。主流だった血管を引き抜く手術やレーザーなどで静脈を焼き潰す治療より、手術の負担が少なく術後の痛みや合併症が少ない。

昨年、お茶の水血管外科クリニック(東京・千代田)でグルー療法の施術を受けた70代の女性は、手術のあまりの簡単さに拍子抜けしてしまった。長年悩まされた足のこぶは大きく、治療にもっと長くかかると思っていたが、実際の手術は20分ほどで終了した。「術後は脚がだるくなることがなくなった」と笑う。

下肢静脈瘤は静脈の弁がうまく働かなくなり、血液がよどんでたまり、こぶができてしまう。皮膚にでっぱりができるほか、だるさなどを伴う厄介な病気だ。国内に1000万人の患者がいるとされる。男性より女性、若年層より高齢者の方がなりやすくかかりやすい。レジ係、美容師など立ち仕事をしている人や肥満症の人に多くみられる。また遺伝の要素も強いといわれ、「両親が下肢静脈瘤を患っている人は非常に高い確率でかかる」(お茶の水血管外科クリニックの広川雅之院長)。

比較的軽症の場合には立ち仕事を減らしたり、体重を減らしたりするよう指導し、改善するケースも多い。ただ、全体の2割を占める重症の場合には手術が必要になる。従来、特殊なワイヤを使って血管を引き抜く「ストリッピング手術」や、高周波やレーザーで焼く「血管内焼灼(しょうしゃく)術」が施されてきた。現在、下肢静脈瘤の手術の施術数は9割が血管内焼灼術という。だがこうした手術は大がかりな麻酔が必要で、入院も必要なため患者の負担が大きかった。

そこで登場したのがグルー療法だ。局所麻酔をしたうえで専用器具の先に取り付けた管(カテーテル)を静脈に挿入、こぶ付近で「のり」を放出したのち皮膚の上から短時間圧迫し、こぶ付近の血管壁を接着させて塞ぐ。血管に血が流れ込まなくなり、こぶが消える。施術時間は20~30分程度で、日帰りで受けられる。「のり」の成分は市販の瞬間接着剤とほぼ同じで、医療用として長く使われているという。塞いだ静脈の血流は止まるが、血管はほかにも無数にあるため脚全体の血流に問題はない。

手術に伴う合併症も少ない。血管内焼灼術では拡張した血管をレーザーの熱で焼くため周辺を走る神経への悪影響が出ることがあるが、グルー療法ではその心配がほぼない。

また従来の手術では術後、飛行機への搭乗や運動に制限がついたり、脚を締め付けるストッキングをはいたりする必要があったが、グルー療法では必要ないという。

病院側にもメリットは大きい。グルー療法では、血管内焼灼術を実施するのに必要なレーザーや高周波を発生させる高価な装置を購入する必要がない。注入器を購入し、メーカーの講習を受ければ施術可能で、資金力のある大病院でなくても導入しやすい。

従来法に比べ患者にも利用しやすそうなグルー療法だが、いくつか注意すべき点もある。

一つ目は接着剤に対するアレルギー反応だ。施術した人の5%程度にじんましんや腫れ、かゆみなどが生じるという。もともとアレルギーがある人もいるが、同様の成分の接着剤を業務などで日常的に使っている、例えばネイルアートやまつげエクステンションの施術者などの人も、身体が過敏に反応しやすく使えない場合がある。注入した「のり」は半永久的に体の中に残り続けるため、慎重な経過観察も必要だ。

また血管壁同士を接着させる治療法のため、こぶのできた血管があまりに広がりすぎているとグルー療法は受けられない。血管の直径は12ミリメートル以下が目安で「それ以上に拡張した血管についてはこぶの切除など、別の治療法を検討することになる」(順天堂大学医学部付属静岡病院の梶本完心臓血管外科科長)。

下肢静脈瘤は命に関わるような症状が出ることはほぼないため、手術の負担などを考えると治療をためらう患者も多かったという。負担の少ないグルー療法は、健康保険の適用になったことで、病院によっては50万円程度かかっていた自己負担が現在は4万5千円程度で済むようになった。施術を受ける人がこれから広がりそうだ。

◇  ◇  ◇

「不適切治療」に注意

下肢静脈瘤では、軽症で治療の必要がないのに手術をする「不適切治療」が一部の病院で問題になっている。2020年11月には、日本静脈学会などが不適切治療について声明を発表し、注意喚起する事態となった。患者に向けて、手術の必要性について改めて考えるよう訴えている。

不適切治療が増えたのは、現在の主流である血管内焼灼術が11年に保険適用になってからだ。一部の病院で、短時間の検査しかしないにもかかわらず、「血管が太いので手術が必要」「エコノミークラス症候群の予防のため」などと言って手術を勧める例が目立つという。

実際は血管が多少拡張していても脚のだるさ、頻繁なこむら返りなどの自覚症状や皮膚炎がない場合は「慌てて手術する必要はなく、症状が出てからでも十分に間に合う」(横浜南共済病院の孟真院長補佐)。またエコノミークラス症候群は静脈が原因だが別の病気のため、予防のために下肢静脈瘤の手術をすることはない。

不適切治療を避けるためには「手術をその場で決めるのでなく、ほかの病院でセカンドオピニオンを受けるなどして慎重に決めるのが重要」(梶本科長)。これは新療法であるグルー療法についても同様で、自分の症状についてよく理解し、正しい情報に基づいて判断することが求められる。

(三隅勇気)

[日本経済新聞朝刊2021年1月25日付]

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