検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

感染症ミステリー 極限下の人間・社会の格差を映す

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

感染症を題材としたミステリーの刊行が相次いでいる。未知の病に直面した人々のパニックや蔓延(まんえん)がもたらす社会の格差を描いた物語は、コロナ禍のなかでリアリティーを増している。

2020年11月刊行の伊岡瞬「赤い砂」(文春文庫)は感染症がもたらす事件を描いた警察小説だ。原案は05年のデビュー作の前に書いていた。「当時はエイズやエボラ出血熱が話題になっていた。以前から免疫に対して興味があったこともあり、感染症を扱ったミステリーを書こうと思った」と伊岡は振り返る。

物語は鉄道事故から始まる。現場検証をした鑑識官が発作に襲われ同僚の拳銃を奪い、自らを撃つ。その後も自殺の連鎖が続く。鑑識官の親友の刑事が捜査を進めるなか、大手製薬会社に脅迫状が届く。次第に謎のウイルスが事件の背後にあることが明らかになる。

ウイルスを題材としたのは「極限状態になったときに人はどうするか」を考えたかったからだ。「えたいの知れないものに出合ったときに、立ち向かうのか、逃げるのか、それともなかったことにするのか。その時に人の本性が出る」

実際の対策を描く

新型コロナウイルスにどう向き合うかで意見が対立する現状が示すように、未知の病原体は人々に大きな混乱をもたらす。「赤い砂」はエンターテインメント小説の枠組みで、目に見えず対処が難しいウイルスの恐怖を描いている。

コロナ禍をなぞる小説も。20年7月刊行の海堂尊「コロナ黙示録」(宝島社)は大学病院が舞台の医療ミステリー「桜宮サーガ」の最新作だ。

「当初は大した感染症ではないと感じていたが、まもなくこれは普通のウイルスではないと気付いた。五輪の開催を優先するためか、行政の感染対策が遅れたことに怒りを覚えた」と海堂は執筆の動機を話す。

クルーズ船で新型コロナウイルスに感染した患者を収容するのは、シリーズではおなじみの東城大学医学部付属病院。一方、北海道の雪見市救命救急センターではクラスターが発生し、関係者は対応に追われる。感染者と非感染者を分ける「レッドゾーン」「グリーンゾーン」の設置など、実際の対策が描写されている。

政治の動きは、医療現場の緊迫感と対比するように、戯画的に描かれている。そこには医師でもある海堂の危機感が表れている。「医療現場ではコロナの患者だけを診るわけではない。コロナ対策のまずさは医療崩壊につながりかねない」

格差の現実克明に

感染症が生む社会格差を取り上げたのは、20年6月刊行の中山七里「ヒポクラテスの試練」(祥伝社)。浦和医大法医学教室の医師たちが遺体解剖を通じて謎を解く法医学ミステリーの第3弾だ。「人類の歴史はコレラ、ペストなど感染症との戦いと切り離せない」と中山は述べ、小説の普遍的な題材との見方を示す。

肝臓がんが原因で死んだと考えられた前都議会議員だったが、解剖によって感染症が原因だったことが明らかになる。その後、前都議の周辺では、同様の不審死があったことも判明。法医学教室の助手2人が感染源特定のために渡米するが、そこで目の当たりにしたのは格差の問題だった。

この助手のうち一人はスペイン系米国人で、貧困街の出身。粗末な食事しかとることができず、住居の衛生状態も劣悪だ。「感染症が広がると、最新の医療を受けられる層とその恩恵にあずかれない層とで摩擦が起こる。そうした状況を物語に反映させた」と中山。

これまで感染症という題材はSFで数多く取り上げられている。それがミステリーでも扱われることが増えたのは、感染症の流行が社会の現実を克明にあぶり出すからだ。生々しい手触りが作品に宿っている。

(前田龍一)

[日本経済新聞夕刊2021年1月19日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_