インド白ビール270円 創業5年、高めでも若者支持
インドの新興企業が製造販売するビール「BIRA(ビラ)91」が人気を集めている。同社を代表する白ビールはムンバイで190ルピー(約270円)とインドのビールにしては高めだが、味が評価されて多くの酒店や大手スーパーマーケットも扱うようになった。
ビラは、首都ニューデリーに本社を置く新興企業のB9(ビーナイン)ビバレッジズが、若者らに人気の街ハウスカスで2015年にビールを売り出したのが最初だ。
当初は白ビールとラガー(161ルピー)のみの展開だったが、アルコール度数が7%と高い「ストロング」、低カロリーの「ライト」、香りと苦みが強い「インディアン・ペール・エール」と品ぞろえを増やしてきた。
「よく売れているよ。今や『キングフィッシャー』より人気なくらいさ」。ムンバイ市内の酒店で店員が冷蔵庫からビラを取り出して言った。
キングフィッシャーは上場企業のユナイテッド・ブルワリーズが1978年に第1弾の「キングフィッシャー・プレミアム」を発売した老舗ビールブランドだ。インドで国産ビールと言えばこれを指したが、ビラが急速に存在感を高めている。同じラガーでもビラはキングフィッシャーより約30ルピーも高いが、若者らが次々に買っていく。
ビラのロゴは猿に似たオリジナルキャラクターを採用し、瓶や缶にはオレンジや黄色、水色など明るい色を使ったポップなデザインが目を引く。ブランド名にある「91」は国際電話のインドの国番号から取った。
B9には米有力ベンチャーキャピタル(VC)のセコイア・キャピタルやベルギーの投資会社が投資している。1月4日にはキリンホールディングスが1500万ドルを出資することが明らかになった。B9の成長性には海外投資家も注目する。
独調査会社スタティスタによると、同国のアルコール消費量は16年の54億リットルから20年に20%増の65億リットルとなったもよう。経済成長に伴う可処分所得の増加や都市化の進展などで飲酒量が増えている。ビールはインドのアルコール消費量全体の1割程度とされるが、これから消費は伸びそうだ。
(ムンバイ=早川麗)
[日経MJ 2021年1月18日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。