検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

自分の最期はどうしたい 地域で支える「人生会議」

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

「自宅で最期を迎えたい」「延命治療は希望しない」など終末期の医療について患者や療養者が事前に話し合うアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の定着に向け、本人の意思を地域の医療・介護現場で共有する環境づくりが注目されている。専門家は「望む最期を地域で実現させる体制が必要だ」と訴えている。

ACPは人生の最終段階の治療・療養の意思決定を支援するための家族や医療関係者らとの話し合いを指す。厚生労働省が2018年に改定した終末期医療の指針に盛り込み、「人生会議」の愛称で普及を進める。ACPは対話を繰り返し、自らの意思を伝えられない状態になっても思いを推定できる形を目指す。

本人の意思を文書化する事前指示書の作成は本人が専門的な治療内容を十分理解して事前に判断するのは難しい面などがある。そのため本人が自身の価値観を共有し、医療・ケアを選ぶ手法に関心が向いている。

「人の価値観は多様。いかに本人らが納得できる道を探る活動だ」と説明するのは、慶応大医学部講師で在宅看護が専門の山岸暁美看護師。千葉県松戸市で19年まで4年間、医療や介護が連携する地域包括ケアシステムにACPを組み込む文部科学省の研究事業「ふくろうプロジェクト」を代表として主導した。

プロジェクトは市の高齢者支援課、消防、医師会、ケアマネジャーの団体などの共同事業。身近な市内のケアマネジャーや生活相談員約300人が本人や家族にACPの重要性を伝え、話し合いのかじ取り役を担った。

ケアマネジャーらは本人の意思を聞き取り、「緊急時連絡シート」に持病、家族や主治医の連絡先などを記入。望む医療や療養の意向を尋ねるチェック欄もある。本人の思いは治療の状況などで変わるため、定期的に見直す。

希望しない救急搬送を避ける目的もある。約1千人分のシートの内容は服薬情報と合わせてデータ化され、医療機関や介護施設などと共有。QRコードにしたステッカーを各家庭の冷蔵庫に貼り、駆けつけた救急隊員が意向を確認できる仕組みを整えた。

プロジェクトは市内の約半分の地域を対象とし、それ以外の地域に比べて希望通りの最期を迎えられた割合は2倍を上回った。

シートには最終段階の意向を「決められない」という選択肢を設けた。山岸氏は「死を意識しないで生きたいと願う人の思いも担保し、意思表示を迫る社会的な圧力になってはならない。住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けるという地域包括ケアシステムが基礎にあり、病院か自宅かという二元論でもない」と強調する。

例えば、日本老年医学会(東京)がまとめた「ACP推進に関する提言」における食道がんと肺疾患の70代の男性の事例では、妻や主治医、ケアマネジャーらと話して自宅療養を選択した。治療方針などの相談内容は医療・ケアチームで適宜、情報共有し、最期は自宅と病院のいずれでも対応できる体制を整えた。

男性は再入院することもあったが、可能な限り自宅で過ごすという本人の希望に沿って帰宅。最終段階は入院をはさみ、訪問診療を受け、自宅で多くを過ごした。本人の意思を支援でき、みとり後は妻も納得した様子だったという。

地域包括ケアシステムにACPを取り入れる検討は新潟市や静岡県磐田市なども行っている。神戸市医師会もその1つ。18年には医療機関や消防、ケアマネジャーなど31機関の約210人にインタビューし、課題をまとめて導入に向けた検討を続けている。

本人との話し合い方や始めるタイミングなど、ACPとの向き合い方やコミュニケーションスキルを身につけた人材の養成は欠かせない。今年1~3月には、厚労省の委託事業で4地域を対象に、在宅医療に関わる専門職向けの研修会が開かれる。鹿児島県の関係者を対象にした17日のウェブ研修会は定員を大幅に上回る応募があった。

研修の運営に携わる鹿児島市の相良病院顧問、江口恵子看護師は「患者と踏み込んだ話を進めるのに悩むケースは多い。ACPを普及させ、医療がもっと患者が望む生き方を支える形になれば」と話す。

◇  ◇  ◇

最終段階の医療「考えた」6割

厚生労働省が2018年に公表した意識調査によると、人生の最終段階の医療・療養を考えたことがある一般国民は59.3%。家族や医療関係者と話し合った経験を持つのは39.5%だった。

ゲーム形式できっかけづくりをする「もしバナゲーム」は米国のカードゲームを千葉県の医師らが日本語訳し、16年の販売以降に約4万セットが出荷された。元気な人が余命半年の想定で自分なら何を大切にしたいかを考え、「家族と一緒に過ごす」「痛みがない」などと書かれたカードを取捨選択。選んだカードを披露し、理由を説明するルールがある。

製作した原澤慶太郎医師は「人の気持ちは揺らぎ、考え方が変わることを疑似体験できる」と話す。新型コロナウイルス禍を受け、オンライン版も今年度中に公開するという。

医師らでつくる「自分らしい生き死にを考える会」(東京)は、昨年4月にウェブサイトで「私の生き方連絡ノート」を無料公開した。現時点で自分が望む医療のイメージなどを書き込む形式で、具体的な医療行為ではなく自己の価値観を把握することに主眼を置く。同会副会長で東京慈恵会医科大柏病院の三浦靖彦・総合診療部長は「コロナ禍を人生のあり方を考える契機とし、ACPを知る入り口にしてほしい」と話す。

(佐藤淳一郎)

[日本経済新聞朝刊2021年1月18日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_