希少金属にビジネス拡大 中国の経験生かし人脈築く三井物産 藤原夢さん

三井物産で入社9年目の藤原夢さんは、モリブデンやクロムといった希少金属(レアメタル)の売買を手掛ける。販売条件の見直しや新規顧客の開拓を通じ、担当チームへの配属からわずか1年で億円単位の利益を稼ぎ出した。リスクを恐れない姿勢と、誰にも負けない商材への愛着心で道を切り開く。

担当している金属はモリブデンとクロム。ステンレスや特殊鋼を補強し、さびにくくする性質をもつ。キッチン回りなどの生活用品のほか、石油やガスのパイプラインなど、使用環境が厳しいインフラにも使われている。

銅など他の金属の副産物から取り出すモリブデンは、三井物産が権益を持つ南米チリの銅鉱山からも産出する。同国の他、アフリカや中東など世界各地から商材を調達し、鉄鋼メーカーと取引する中間事業者らに販売するのが藤原さんの仕事だ。

主な販売先も中国や米国、日本など多岐に及ぶ。商社の営業は商材を売って終わりではなく、どこに資源があり、どこの市場で需要があるのかを見極める必要もある。

製鋼原料部のクロム・モリブデン物流担当チームに配属された藤原さんは、すぐに買い付け先や販売先、販売条件の見直しに着手した。「与えられたことをこなすだけでは不十分。自ら問題点を見つけて挑戦し、リスクを取らなければ成長はない」というチャレンジ精神が持ち味だ。

まずは他の商材で取引がある会社を皮切りに話を持ちかけた。最初は「条件が合わない」「知らない産地だ」などと取り合ってもらえない。それでも、売る価値がある商材を複数用意して提案を重ねた。「とことんやる」「とにかくたくさんやる」が信条でもある。同社で過去5年ほど扱いがなかったクロムの商談をまとめるなど、成功例を少しずつ積み上げていった。

アフリカや中東、南米などのマイナーな産地から資源を探し出し、提案することもある。調達先や販売先の発掘は、いずれも物産の現地拠点との連携がカギを握る。中国やチリ、米国の現地スタッフとは中国語や英語を駆使して毎日数時間、オンライン会議を開く。時差の都合で深夜に電話をすることもある。「根拠を十分に示しながら、とことん現地に寄り添う」ことで連携を深めてきた。

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