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医療ビッグデータ、コロナ対策にも 匿名で共有・活用

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医療分野でビッグデータの活用に向けた動きが本格化している。個人の病気の発見や予防を含む健康促進のほか、新薬開発など幅広い分野での活用が見込まれる。さらに新型コロナウイルス感染症のような感染症対策にも役立つツールになる可能性が高い。

米ファイザーが「第1号」に

医療ビッグデータとは、医師が患者ごとに診療の経過を記録したカルテの情報を含む大量の個人情報をさす。個人の名前にひもづけて一元管理する名寄せ後に匿名化、製薬会社などが新薬の開発や副作用の発見などに活用できる。

国民皆保険制度の日本には、医療機関が健康保険組合に医療費を請求するために処置や処方薬の明細を示すレセプトがある。だが、診療効果が検証しにくいため医療ビッグデータとして使うのは難しかった。

2018年5月に次世代医療基盤法が施行された。政府の認定した事業者が病院や自治体、介護施設などの医療情報を集めて、匿名にして製薬会社などに提供できるようになった。団体ごとにバラバラに管理されていた医療情報を集約するため、患者の病歴や治療効果などを一括して分析できるのが利点だ。

20年12月、医療ビッグデータの活用促進を目指す日本の次世代医療基盤法に基づいて米ファイザーが医療情報の提供を受けると発表した。同法施行から2年半、初の事例が誕生した。

医療ビッグデータを利活用する次世代医療基盤法制度の要となるのが医療情報を匿名加工する認定事業者だ。認定は内閣府や文部科学省などが実施する。19年12月に京大教授らが主導するライフデータイニシアティブ(京都市)が第1号となったのに続き、20年6月に全国の開業医らと連携する日本医師会医療情報管理機構(東京・文京)も認定を受けた。東京大学教授らが参加する匿名加工医療情報公正利用促進機構(東京・新宿)も認定を受ける準備を進める。

米ファイザーが契約を結んだのがライフデータイニシアティブだ。「法にのっとってデータを利用できる」と米ファイザー日本法人の米本直裕部長は利活用を決めた理由を説明する。日本のがん患者のデータで医薬品の安全性や有効性を評価し、新薬の開発や実用化を加速するのが狙いだ。

ライフデータイニシアティブが提供するデータは、全国各地の大学病院などが参加する電子カルテシステムをベースとしている。「ほかでは得られないデータだ」とライフデータイニシアティブを率いる吉原博幸京大名誉教授は話す。

一方、日本医師会医療情報管理機構は自治体を巻き込んだ地域連携での利活用事例創出を狙う。青森県弘前市では地域で連携して医療ビッグデータの利活用を進めるため関係団体との調整を進める。桜田宏市長も「検診データと合わせて活用すれば健康寿命延伸の大きな力になる」と市民の健康維持や増進につなげようとしている。

研究サイドの利点も大きい。中核医療機関の一つ弘前大学病院をまとめる中路重之同大特任教授は「参照できなかった自治体の検診データが使えれば実用性の高い研究も前に進む」と期待する。

同機構の実動部隊であるICI(東京・文京)の工藤憲一社長は「接触確認アプリなどと連携できれば新型コロナ対策につながる可能性もある」と話す。どのような基礎疾患や病歴を持つ人が、コロナに感染しやすかったかなどがわかるため次の流行時の対応や新たな感染症の流入の予測などに応用する道も探る。

制度を所管する内閣官房健康・医療戦略室は、認定時に事業者に初年度100万人分、3年目で200万人分のデータ確保を課している。

ただ、「本当にビッグなデータが整備できているとは言いがたい」。次世代医療基盤法の法制化にも関わってきた医療情報システム開発センター(東京・新宿)の山本隆一理事長は指摘する。目標を達成しても現状の事業者数では延べ数百万人分にすぎないからだ。認定事業者を増やし、利用者にいかに有用かを伝えられるかが普及のカギだ。

さらにデータを活用しやすくするために、政府は認定事業者同士の連携を促す。同戦略室の藤沼広一企画官は「現状の2団体も補完関係にあり、両者の情報を合わせるとデータの質を高められる」と指摘。ICIの工藤社長は認定事業者間の連携を図るため、業界団体の設立に向けた準備を進めている。

ほかの先進国に比べて遅れているとされる日本の医療ビッグデータの制度整備と活用。デジタル庁の創設なども追い風とし、挽回できるか。今年の動きが試金石となりそうだ。

◇  ◇  ◇

患者への通知に負担も

医療ビッグデータの整備で最大の課題になるのは患者への通知だ。原則、初診時に医師が患者に説明し、患者が拒否しなければ認定事業者に診療データなどを提供して匿名に加工する。医療現場は新型コロナウイルスへの対応に忙殺されており、複雑な次世代医療基盤法の仕組みを説明することになる患者への通知で医師の仕事を増やすことに消極的になりがちだ。

現場では模索が続く。作業の煩雑さについて、認定事業者のライフデータイニシアティブに協力する医療機関の一つは「患者からの問い合わせは半年間で2人だけ」と明かすが、受診票の裏面に制度内容を伝える通知文を載せている。医療現場の負担を軽減するための工夫も欠かせない。

患者への理解を進めるために、医療情報システム開発センターの山本理事長は「何より成果を早く出すことが重要だ」と話す。新薬など明確な成果があれば患者も情報提供に前向きになり、好循環が生まれてくるとみる。

(桜井佑介)

[日本経済新聞朝刊2021年1月11日付]

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