史上最年少でタイトルを獲得するなど、2020年に飛躍を果たした将棋の高校生プロ、藤井聡太二冠(18、王位・棋聖)。20年を振り返ってもらうとともに、21年の抱負を聞いた。
――21年の抱負として「初心」と揮毫(きごう)してくれました。
「20年は二冠を獲得できて立場が変わった一年でもありましたが、新鮮な気持ちを失わずに取り組んでいきたいと思います」
――1年前の自分と戦ったらどれくらい勝てますか。
「6割ぐらいかなと思います。1年前と比べると、早い段階で形勢を損ねることは少なくなった。序盤から中盤のはじめの指し手の精度は上がっている」
――前年比6割のペースでいつまで伸ばしていけますか。
「強くなる余地は常にあると思いますが、現実的に考えて20代前半が(棋力の)ピークに近い。ここ数年はやっぱり大事にしないといけない」
「13歳くらいの頃が、詰め将棋を解くのは一番速かったと思う。実際の終盤は詰め将棋的な考え方で進めていい場合とそうでない場合があって、詰め将棋と(実戦の)終盤力というのは別物ですが。ただ、詰め将棋を解くのが速くはなっていないです」
中終盤に課題
――新年の課題は。
「指しやすそうな局面から勝ちに結びつけるところでうまくいかないことが多かった。中終盤にさしかかるところの形勢判断に問題がある。そのあたりの精度を上げるのが課題です」
――この1年で印象に残った一局は。
「棋聖戦第1局です。初の番勝負で、内容的にも終盤までずっと互角に近い形勢で、精いっぱい指せた」