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コロナ下で戸建て住宅が脚光を浴びている。在宅勤務や外出自粛が広がり、自宅で家族と過ごす時間が増えた。住宅選びの関心はこれまで都心・駅近だったが、通勤の利便性より部屋数や広さを求めて戸建てを選ぶケースも目立つという。海外事業も強い住友林業の光吉敏郎社長は「都心から離れた戸建てのニーズが世界的に拡大している」と語る。

ネットを使って顧客とつながる

――社長就任直後に、緊急事態宣言が出され厳しい船出となりました。

「4、5月は受注のかき入れ時ですが緊急事態宣言が出され、住宅展示場での営業は最小限に抑えました。住宅事業では顧客との打ち合わせや、図面の作業が欠かせません。コロナで在宅勤務が広がるとネットでの打ち合わせが増えました。思うように工程が進まず、住宅着工が遅れるケースも出ました」

――それでも7月以降は、戸建注文住宅の受注が前年比プラスで推移しています。

「ネット営業を強化した結果です。顧客訪問ができないだけに、ウェブによる設計相談会などを開いてきました。ただリフォームの工事は業者が出入りするため、コロナ下で需要の回復に時間がかかっています」

――家を買う際に戸建注文住宅はマンションより部屋数を確保しやすいですね。

「コロナでニーズが高まった在宅勤務で使えるワークスペースや、玄関の手洗い設備といったことにも対応しやすい。コロナの感染拡大前から住宅の購入者層は若返り、ミレニアル世代の比率が増えました。共働き夫婦にとって使いやすい仕様を用意するなど、顧客ニーズに合った住宅提案に早くから取り組んできました。住宅はかつての大量供給時代から、1990年代に質を追求する時代に変わりました。そして今は、住む方々の個性に応じて住宅に多様性が求められる時代です」

――コロナで戸建て販売に追い風が吹いているとの実感はありますか。

「これまで通勤に便利な駅近のマンションに人気が集まっていました。しかしコロナ下で在宅勤務が広がると、物件選びも変わってきています。東京都に接する埼玉県や千葉県だけではなく、群馬県や茨城県のそれも駅から徒歩で時間がかかるような土地を買って、家を建てるケースが目を引きます。こうした都心から離れた立地で戸建てを求める動きは、日本だけでなく世界的な現象になっています」

「戸建注文住宅の受注が前年比プラスで推移しているのは、消費税引き上げの影響もあります。2019年10月に消費税が10%に引き上げられましたが、注文住宅には経過措置が適用されました。19年3月までに契約すると増税前の税率8%が適用されるとの内容です。このため19年3月まで受注は良好でした」

「その一方で、19年4月以降は、駆け込み需要の反動減が起きました。比較対象となる前年の受注実績がそれほど良くなかったことも、今年の増加率が大きく出る背景にはあります」

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