国内向けに製造販売するコヴィディエンジャパン(東京・港)によると、同社のカプセル内視鏡は国内で小腸用が約700施設、大腸用が約200施設で使われている。新型コロナウイルスの感染リスクを考えて大腸用にカプセル内視鏡を新たに導入したケースも数例あったというが、保険適用拡大のあともあまり増えていないという。

課題も見えている。全国の症例分析によると、大半の人では、カプセル内視鏡で大腸全体を観察できた一方、一部は途中までしかデータがとれなかった。大腸の形や長さによっては、カプセルの通過に時間がかかり過ぎるためだという。詳細に見たい部位や取り除きたいポリープなどが見つかったとしてもその場では対処できない。後日、従来の内視鏡検査をやり直す必要がある。

検査の体制整備の充実も必要だ。下剤の飲み方の指導などのほか、検査後は、医師などが数万枚の画像を読影してから診断する必要がある。

カプセル内視鏡に詳しい若宮渡部医院(千葉県市原市)の渡部宏嗣副院長は、「従来の検査を受けられない人の選択肢が増える意義は大きい」と指摘する。ただ、スタッフの負担なども考慮して同院ではまだ取り入れていないという。「読影支援や前処置の軽減などでより簡便に実施できるようになれば、カプセル内視鏡がむしろクリニックの診療の負担軽減にもつながるかもしれない」と話す。

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大腸がん 精密検査の受診率低く

日本ではがんの中で、大腸がんの発症者数が部位別で一番多い。厚生労働省の全国がん登録の報告によると、17年に大腸がんと診断された人は約15万3千人にのぼる。女性は乳がんに次いで2番目に多く、男性は前立腺と胃に次いで3番目だ。同省の19年人口動態統計では、死亡数も肺がんに次いで2番目に多い。

19年の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、大腸のがん検診の受診率は男女共に半数以下だが、10年以降は徐々に向上している。検診で必要と判断された場合は、内視鏡やX線を使った精密検査に進む。

住民検診の実施などを担う日本対がん協会の調査によると、17年度のがん検診で精密検査が必要とされた約15万4千人のうち、実際に精密検査に進んだ人は約10万6千人(約69%)にとどまった。死亡率を下げるには、精密検査の受診率を上げる必要があるため、カプセル内視鏡の普及に期待する声は多い。

(スレヴィン大浜華)

[日本経済新聞朝刊2020年12月28日付]

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