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コロナ苦難から新たな試み 演劇・舞踊、2020年の収穫

評論家・日経編集委員が振り返る

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NIKKEI STYLE

コロナ禍で演劇・舞踊は長期の公演自粛を余儀なくされたが、配信の試みなど新たな成果もあった。各分野の評論家と編集委員が振り返る。

歌舞伎・上村以和於 自粛期間にも好企画

(1)「菅原伝授手習鑑」(加茂堤、筆法伝授、道明寺)
(2月、歌舞伎座)
(2)図夢歌舞伎「忠臣蔵」
(6~7月に初回の配信)
(3)「身替座禅」
(11月、歌舞伎座)

コロナ禍という予期せぬ事態で、今年の歌舞伎はコロナ前・中断期・再開後と3期に分断された。順位ではなく、各時期を象徴して代表する業績をあげた。

(1)は仁左衛門の菅丞相、玉三郎の覚寿、梅玉の源蔵らによる今日での最高水準を示す大歌舞伎。(2)は、劇場での公演自粛が続く中、幸四郎が主導、実現した映像による「仮名手本忠臣蔵」。その行動力、企画力、それを支える遊び心。(3)は、再開後の舞台。菊五郎の山蔭右京・左団次の奥方との再会は、コロナ砂漠の中でオアシスに出合う感があった。

別格として、休演となった3月歌舞伎座の吉右衛門・仁左衛門ら大顔合せによる「新薄雪物語」の期間限定の配信映像が感銘深い名舞台だった。正規の公演ではないので、番外として挙げる。

現代演劇(関西)九鬼葉子 登場人物の活力に希望

(1)木ノ下歌舞伎「糸井版 摂州合邦辻」
(11月、ロームシアター京都)
(2)ヨーロッパ企画「鴨川ミッドサマードリーム」
(9月、京都府立文化芸術会館から生配信)
(3)虚空旅団「ダライコ挽歌」(2月、アイホール)

世を救う英雄の登場を待ちたくなる昨今。活力ある登場人物が客席に希望を伝えた。

(1)は、大名家の嫡男を命がけで守る継母・玉手御前(内田慈)が主人公の音楽劇。勇気と美徳を備えたヒロイン像から、平和への希求が伝わる。

公演中止を乗り越え、すぐにオンライン演劇に着手した各劇団の熱意に感服。中でも(2)は、無観客の劇場内外を次々に移動しながら生配信した、凝った趣向の爆笑喜劇。京都の町を、怪奇現象から守る物語。最後に安倍晴明が張った結界が、現世の疫病退散にもつながることを祈りたい。

(3)は、大阪の小さな町工場を舞台に、1983年から16年間を綴(つづ)った。バブルの恩恵に浴することなく苦闘する人々。関係性を大事に生きる庶民の姿に光明が見えた。

現代演劇 戦後史の断面切り取る

(1)文学座「五十四の瞳」
(11月、紀伊国屋サザンシアター)
(2)世田谷パブリックシアター制作「現代能楽集X 幸福論」
(11~12月、シアタートラム)
(3)神奈川芸術劇場・東京デスロック「外地の三人姉妹」
(12月、神奈川芸術劇場)

在日コリアンの現代史を描き続ける鄭義信の活躍が目につく年だった。作・演出の「泣くロミオと怒るジュリエット」に続いて放った戯曲の(1)は傑作「焼肉ドラゴン」の姉妹編といえる成果。松本祐子演出とのコンビも磨きがかかり、知られざる戦後史の断面を涙と笑いで切り取った。

瀬戸山美咲演出の(2)は気鋭の長田育恵作「隅田川」を得て現代の闇をとらえた。産む性の根源的かなしみと祈り。

(3)韓国のソン・ギウン(脚本)と多田淳之介(演出)がチェーホフ劇を日韓の現代史に置き換える連作。10年以上の共同作業により、「かもめ」を翻案した前作に続く傑作を放った。日本の軍国主義とメロドラマが対比をなし、白布で装置を包む終景も見事だった。

(編集委員 内田洋一)

ミュージカル・小山内伸 苦悩の時間、秀逸な演出

(1)梅田芸術劇場制作「ヴァイオレット」
(9月、東京芸術劇場)
(2)劇団四季「ロボット・イン・ザ・ガーデン」
(10~11月、自由劇場)
(3)東宝・アミューズ「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド」
(3月、日生劇場)

(1)は顔に傷痕を負う女性の再生の旅をつづる。道中の出来事にシンクロさせた回想シーンを、井戸の底へ降りてゆく「記憶の旅」として描き出した藤田俊太郎の演出が秀逸。女性の抱えてきた苦悩の時間に観客を立ち会わせた。

(2)は近未来、妻に見放された若い男と時代遅れのロボットによる世界旅行を描くオリジナル作。再起を賭けた道中を彩り豊かにショーアップしてみせた。二人の俳優が操るロボットの不器用さが愛らしい。

(3)は脱獄犯の「男」をキリストだと思い込む無垢な少女らの物語。L=ウェバーの楽曲が素晴らしい。物語に聖と俗の対比があり、「男」の中にも悪と善の背反性が生じてくる。演じた三浦春馬が見事だったが、最後の舞台となった。

舞踊・長野由紀 ダンサーの鍛錬に敬意

(1)パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」「オネーギン」
(2~3月、東京文化会館)
(2)スターダンサーズ・バレエ団「ドラゴンクエスト」
(10月、東京文化会館、配信も)
(3)新国立劇場バレエ団「ドン・キホーテ」
(10~11月、新国立劇場、配信継続中)

コロナ禍により劇場に長い無人の、そして暗中模索の空白期間が生じた1年。心身をさらに磨き上げて戻ってきたダンサーたちに、まずは敬意を評したい。

(1)は公演自粛が始まる前の、結果的に最後の大型来日公演。古式ゆかしい様式美と現代に通じる懊悩(おうのう)を描く2作で、名門の底力を示した。

(2)は配信が各団体の活動の視野に入って来る中、従来のファン以外の層を引き寄せるコンテンツを持つことの強さを証明した。上演レベルも極めて高い。

(3)は芸術監督・吉田都の元での初シーズン開幕公演。小野絢子、米沢唯という傑出した2人の主演者を中心に連日、技術、演技力、さらに熱量も従来を上回る名演。新時代への期待が膨らんだ。

[日本経済新聞夕刊2020年12月21日付]

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