SNS使い「神薬」発信 龍角散の中国向けEC販売けん引龍角散 甘さん

龍角散の甘●(おうへんに路)さん
龍角散の甘●(おうへんに路)さん

龍角散(東京・千代田)が中国向けの越境EC(電子商取引)に力を入れている。新型コロナウイルス禍で訪日客の消費が落ち込む中、BtoCにおける10月の同分野の売上高は前年同月の5倍以上に。龍角散ののど薬は中国で人気が高い「神薬」の1つ。同社営業本部の甘●(おうへんに路)(かん・ろ)さん(32)が、複数のSNS(交流サイト)などを駆使して販売をけん引する。

甘さんは北京市出身。19歳から日本で過ごす。「ドラえもん」が好きで、父親が日本で働いていたこともあり、幼い頃から親近感があった。福岡の日本語学校から長崎の大学、東京の大学院へと進み、その後は日本にある中国語メディアの記者として働いた。その際の取材先の一つが龍角散。中国市場の開拓を目指す藤井隆太社長と意気投合し、2017年に転職した。

龍角散は以前から個人輸入などのかたちで中国で一定の知名度を得ていた。ただ個人輸入では、その後の販売ルートが分からない。自社で流通を管理できる越境ECの重要性が高まっていた。

甘さんが入社した年、龍角散は中国アリババ集団の「天猫(Tモール)」を通じて中国向けのEC事業を始めた。甘さんは国内営業の経験を積みながら中国事業にも携わり、まずは1~2品目で販売を開始。この9月にはアリババとの商談を成立させて、越境ECサイト「天猫国際(Tモール・グローバル)」上に龍角散の旗艦店を出した。

販売促進にも工夫を凝らす。例えば通販サイトの「淘宝網(タオバオ)」を使い、生配信で商品を紹介するライブコマースを展開する。藤井社長にも出演を依頼し、中国の消費者に直接メッセージを伝えてもらった。龍角散の商品を愛用している中国の声優らにも動画出演を頼み、SNSなどで配信した。

ただ「どれだけいい広告素材があっても、多くの人に届かなければ意味がない」と甘さんは指摘する。中国の消費者はECで商品を探す際、様々なサイトをじっくり比較して、総合評価が高いものを選ぶ傾向があるという。

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