冷蔵庫すっきり収納 スマホで現状確認、迷子には容器
冷蔵庫の内部は、普段でも整理整頓が大変だが、年末年始はおせち用の食材やストックでギュウギュウになりがち。何がどこに入っているかわからない状態にならないための収納術を教えてもらった。
食品をどんどん入れていくうちに庫内がパンパンになり、使いたい食品が見つけられない――そんな経験はないだろうか。
このイライラを解消するにはまず、現状を把握することが大切だ。冷蔵庫収納家の福田かずみさんは「スマホなどで庫内の写真を撮ってみよう」とアドバイスする。
冷蔵庫のドアを開けて長時間庫内を眺めていては、冷気が逃げてしまう。だが撮影すれば、何をどこに入れるべきかをゆっくり考えられる。
粉類や調味料は出してスペース
冷蔵室は、冷気を効率良く循環させるために収納を7割以下にとどめるのがよいとされている。食品を少しでも多く入れたい年末年始は難しいが、うまく整頓して、食材と食材の間に適度なスペースを作るように心がけたい。
庫内の空き容量を確保するための工夫として「常温保存でも可能なものを、一時的に取り出すこと」を福田さんは挙げる。お好み焼き粉などのミックス粉、乾物類、しょうゆなどの調味料は、酸化やダニの発生を防ぐため冷蔵保存が適しているが、気温も湿度も低い年末年始の間だけなら冷蔵庫から出し、冷暗所に保存しておけば大丈夫。空いたスペースを効率よく使おう。
定番食材をできるだけコンパクトにまとめることも重要だ。トレーや収納ケース、保存容器を効果的に使いたい。 使いかけの食材、余ったかまぼこやだて巻きといった、おせちに補充するための食品は、一つのトレーに集めておくと、庫内を探しまわる手間が省ける。「かまぼこなどは、食べやすいサイズにスライスしてからポリ袋に入れ、トレーに収納すると、重箱に補充するとき手軽に取り出せる」と福田さん。
パウチや小袋に入った食材は、重ねて収納してしまうと、使いたいものが探しにくい。深さのあるケースに立てて保存するのがおすすめだ。封を切ったものは、口元をクリップなどで止めておこう。
手作りおせちはガラス製の密閉容器に入れておくと、中身が一目で分かり、取り出しやすい。重ねられるタイプの容器なら、空間も効率よく使える。これらすぐに使用する食材は、物を出し入れしやすい中段に入れておくのが適している。
ケーキを保存するときにも密閉容器が活躍する。ふたにケーキをのせて上から容器をかぶせると、ケーキが崩れず簡単に取り出せる。覚えておこう。
ブックエンドでビンを賢く収納
意外なものも冷蔵庫内の収納に役立つ。ワインや日本酒のビンを横にして冷やすとき、棚の高さを無駄なく活用して収納量を増やすために、福田さんが利用しているのがブックエンドだ。本棚のように庫内の棚を仕切ることで、ビンを積み重ねて冷やせる。本数に合わせて幅を自在に調節できるのも利点。ずれないように、ストッパー付きのブックエンドを使うのがポイントだ。
100円ショップなどで購入できるすのこも、冷蔵庫収納の強い味方。「密閉容器にすのこを敷いて葉物野菜を入れると、湿度も保たれ、長持ちする」(福田さん)。年末に高騰する野菜は、早めに買っておいて冷凍保存するのもおすすめだ。
東芝ライフスタイルで冷蔵庫の販売企画を担当する島村祥治さんによると、家庭用冷蔵庫の温度目安は冷蔵室の温度が約2~5度、ドアポケットは約3~6度、チルドルームは約0~3度だという。
開閉する機会の多いドアポケットは、庫内より温度が不安定で、少し高めとなる。正月用の食品の収納に利用するなら、未開封のものや、賞味期限が長めの食品がよいだろう。
一方、チルド室は冷蔵室より低い温度のため、冷凍せずに鮮度を保ちたい食品を保存するのに最適な場所。刺し身や肉、チーズなどの乳製品やかす漬け等の発酵食品は、チルドルームで保存しよう。「生鮮食品の保存期間は約3日間というのが一般的だが、進化した最近の冷蔵庫なら、5~7日間ほどは保存できるようになっている」と島村さん。
食品が迷子になってしまわないよう、冷蔵庫内をうまく整理整頓し、すがすがしい気分で新年を迎えよう。
(ライター 土井 ゆう子)
[NIKKEIプラス1 2020年12月19日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。