大学生の就職活動について、新型コロナウイルスによる影響を学長アンケートで尋ねたところ、7割が内定を得られない学生が増えると答えた。企業の採用数が絞り込まれ、一部の優秀な学生に人気が集まる二極化が進むとみるためだ。就活の開始時期が早まる懸念も強く、政府の就活ルールや通年採用、オンライン対応など就活のあり方に課題が山積している。
近年、人手不足で売り手市場と言われた新卒の就活に、新型コロナで逆風が吹いている。文部科学省と厚生労働省が調査した2021年春卒業予定の大学生の就職内定率は、10月1日時点で前年同期比7ポイント低下の69.8%と、リーマン・ショック後の09年(7.4ポイント)に次ぐ下げ幅だった。
学長アンケートでは新型コロナによる今後の就活への影響を複数回答で聞いた。「内定を得る学生とそうでない学生の二極化」が進むと答えたのが最多で81.8%、「内定を得られない学生の増加」が70.8%で続いた。

自由回答では「業績悪化などで採用数を抑制する企業が増加するかもしれない」(公立)や、「公務員試験の倍率上昇や地元企業の採用枠減少の恐れがある」(国立)との声が聞かれた。中には「対面式の選考が減少し、企業と学生の間でミスマッチとなる可能性が増える」(私立)や「対面での接触が減少し学生の不安が増加する」(国立)とオンラインによる就活を懸念する意見もあった。
新型コロナで懸念されるのがさらなる採用時期の早期化だ。コロナ禍で就活の開始時期が早まるとしたのは37.7%、「分からない」が36.4%、「変わらない」が20.8%だった。政府は23年春卒まで広報活動を大学3年の3月、採用面接を4年の6月に解禁する就活ルールを決めている。ただ、企業は早期に優秀な学生を確保するため採用活動の開始を早めており、新型コロナで採用人数が減少してもその傾向は変わらないとの見方が強い。
政府が定める就活ルールについてどう思うか聞くと「妥当である」は69.5%で、「変更が必要」の18.2%を大きく上回った。自由回答では「少なくとも3年間は学業に専念させるべきだ」(国立)、「採用スケジュールが頻繁に変わるのは大きな混乱を招くので、日程の安定を第一に考えるべきだ」(私立)との意見があった。

「変更が必要」とした学長にどのような変更が必要か聞くと「説明会、面接ともに解禁を早める」が32.1%、「説明会のみを早める」が17.9%だった。