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岩谷産業の児島敬人さん

岩谷産業の児島敬人さん

岩谷産業はカセットボンベとコンロの市場で6割以上の国内シェアを持つ。足元の巣ごもり需要もあって販売は好調だが、小売店への営業を担当する西日本営業部の児島敬人さん(34)は販促策の提案に余念がない。ガスの分野に限らない幅広い情報提供で、小売店のバイヤーから信頼を集める名物社員だ。

オレンジ柄に白抜きで「GAS」の文字。岩谷製のカセットボンベは消費者にすっかりおなじみだ。スーパーなどの小売店に営業をかけると「ブランド力のおかげで、すんなり棚に置いてもらえることも多い」と児島さん。

だが油断は禁物だ。児島さんは「営業は売った後こそが大切」と自戒する。理想は小売店のバイヤーが困った時に「あの人に聞いてみよう」と、真っ先に頭に思い浮かべてもらえる人。日ごろの付き合いの深さが、いざという時の取引につながると考える。

バイヤーとの距離を近づけるため、月2回ほどの頻度で独自に「メールマガジン」を配信している。例えば新型コロナウイルスへの警戒心が高まった春先。自宅での食事が増えるとみてスーパーのバイヤーにメール配信したのが、たこ焼き粉などのミックス粉の販売データだ。

スーパーのPOS(販売時点情報管理)データを集め、新型コロナ禍で何が売れているかを分析。数表を添えて「家庭内で手軽にできる楽しみとして、たこ焼きの需要が伸びている」と発信した。

「知らなかった。面白いね」。バイヤーからの反応は上々だった。実際、ある大手スーパーでは岩谷のカセットコンロと専用のたこ焼きプレートをセットで販売し、売り上げを伸ばした。

商品の主な販路であるスーパーには精肉や飲料、総菜など分野ごとにバイヤーがいるが「担当領域外の情報は意外と知らない人も多い」(児島さん)。カセットボンベを扱う日用雑貨のバイヤーも同様だ。担当の垣根を越えて食料品の販売データなどを調べ、分かりやすく提案するのが児島さんの真骨頂だ。情報を集めるため、商談の待合室で居合わせた他業界の担当者にも積極的に話しかける。

自社製品の売り込みを強調しすぎないことも流儀の一つだ。メールマガジンには、ときに競合他社のニュースも流す。自社の情報はもちろんだが「他社の情報も頭の隅に入れてもらったうえで、いつでも連絡をもらえるような存在でありたい」と願う。

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