変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

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セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が2020年に創業100周年を迎えた。グループの祖業でありながら、店舗整理や人員縮小など構造改革を迫られている。指揮をとる三枝富博社長は約20年にわたり中国事業を育てた後、17年に再建途上の日本に呼び戻された。「社員が前向きになり挑戦する土壌ができてきた」として店舗の刷新を急ぐ。

もの言える組織、挑戦へ土壌醸成

――社長就任時は「ものが言えない組織風土になっている」と指摘しました。どこまで改善したと思いますか。

「中国で経営をしてきた時は、会社が何を目指して社会にどんな価値を生み出すのか理念を共有して、1万5000人の従業員を束ねてきました。日本で社長に就いて来春で4年になります。幹部も現場もものが言えるようになり、挑戦できる土壌ができてきました。労働組合と一緒に改善運動を始めました。社員やパートから『お客様の声をこう生かしたい』という声が月500~1千件ほど上がってくるようになりました」

――全国に130店以上ある巨大な組織です。挑戦する気持ちが持てる土壌をつくるのは大変な仕事だと思います。

「『そもそも私たちの仕事の目的は何だろう』と幹部や社員と言葉のキャッチボールを重ねてきました。その中で『もっと人に喜ばれる仕事がしたい気持ちがあったのですが、いつの間にか忘れていました』というような本音を聞けるようになってきました。目指すものが明確になれば、組織風土は変わります」

「4月に始めた新型コロナの対策会議が企業を変える大きな原動力になりました。毎週月~金曜日まで社長室に幹部20人、ネットで50人をつなぎ、課題やお客様の声について話し合ってきました。結論は私ではなく、皆が出してくれます。経営としての一体感のある土壌が築かれてきました。『余計なことは言わない』という社内の雰囲気を、前向きな方向に変えるのが私のミッションだと思ってやってきました」

――コロナ下で顧客の行動や販売状況はどう変わりましたか。

「買い物自体がリスクだと考えるお客様も増えたのですが、4月以降、客数が減っても客単価が大きく伸びる傾向が続きました。特に食品が顕著に伸びました。ヨーカ堂のように衣食住をまとめて買える店を改めて評価する流れが、すごい勢いで進んでいます。徐々に業績にも表れており、チャンスです。コロナ下で来店した若い世代から『初めて来たけど結構良いモノがある』といった声も上がっています」

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