映えるパーティー料理のワザ 大皿小皿にちょっと盛り
今年のクリスマスは、外出せずに家族でパーティーという人も多いのでは。いつもの食卓も、盛り付け方ひとつでランクアップさせることができる。簡単にできる盛り付けのテクニックを専門家に聞いた。
「盛り付けが苦手という人は、お皿の完成図を頭の中に描かないまま、盛り付けを始めているケースが多い」と話すのは、東京都内で料理教室を主宰する料理研究家の中山桜甫さんだ。「外食でちょっといいお店に行ったときなどに料理をよく見ていると、家庭にも応用できるヒントがたくさん詰まっている」
一度に載せずに 器に空間を作る
ありがちな失敗のひとつが、作ったものを一度に全部盛ってしまおうとするケース。器に対して料理の量が多くなりすぎ、てんこ盛りで見栄えが悪くなる。
高級店などでは、器の大きさに対して料理の量は少ない。「空間を作ることで料理が引き立ち、よりおいしそうに見える」(中山さん)。例えば、ポテトサラダもワイングラスに少量を盛ると、おしゃれなおつまみに変身する。器に余裕を持たせるのがポイントだ。
手軽にできるパーティー向けの盛り付け方法として、中山さんが提案するのが、大小の皿を組み合わせた「ちょっと盛り」だ。買ってきた総菜などを小皿に少しずつ載せ、それを大皿の上に並べるだけで、特別感が出る。普段の食事でも、冷蔵庫の中の残り物を活用して、外食気分で楽しむことができる。
スペイン料理のピンチョス風の盛り付けもおすすめだ。チーズやハム、肉団子など好みの具材を、短めの竹串やピックなどに刺して大皿に並べるだけ。小さな子供でも手伝えるので、自由な組み合わせを見つける楽しさもある。
次に大事なのが立体感。「平面的な盛り付けは味気ない印象を与える」と中山さん。例えば、パスタやサラダなどの盛り付けは、高さを出すように、皿の真ん中にこんもりと盛る。
ローストビーフなどスライスした肉を並べる場合、奥側を少し高くして立体感を出す。肉の切れはしやアルミホイルを丸めたものを土台にし、そこに肉を立て掛けるイメージで盛り付けるとよい。
クリスマスには 緑・赤・白の3色
彩りも大事にしたい。クリスマスメニューなら緑、赤、白の3色など、テーマに沿った色を料理に加える。
普段の料理でも、ブロッコリーやネギ、大葉、ハーブ類などグリーン系の野菜を常備しておくと便利だ。中山さんは「最近は冷凍野菜の種類も増えている。それを少し加えるだけで、手をかけたように見える」と助言する。
ナッツ類やレーズン、フルーツなどの食材も特別感が出るアイテムだ。グリーンサラダにナッツを散らしたり、ニンジンのラペ(細切りサラダ)にグレープフルーツを混ぜたりすることで、少量でも料理が華やかになる。
ハムやパンなどのバリエーションを増やすと、凝った料理を用意しなくても、手軽にパーティーらしさを演出できる。買ってきて並べるだけだが、数種類あるとにぎやかな雰囲気で、気分が高まる。
中山さんは「ひと工夫するだけでいつもの料理がよりおいしく、豪華になる。その一手間を大事にしてほしい」とアドバイスする。
ドリンクもパーティーに欠かせないアイテムだ。メルシャンマーケティング部の大林万希子さんは「クリスマスといえばスパークリングワインなどの『泡』が、華やかさを出すのにぴったり」と話す。
スパークリングというと、背の高い専用のグラスやワイングラスが必要と考えがちだが、大林さんが提案するのは、背の低いグラスを使ったカジュアルな飲み方。「あえてカジュアルダウンすることで、アットホーム感が出る」という。
使い捨ての透明なプラカップにマスキングテープなどでデコレーションを加えて使うのも楽しい。テープがカップの取り違いを防ぐマーカー代わりにもなる。
スパークリングにゼリーや冷凍のベリーなどを加えると即席カクテルとしても楽しめる。さらにアイスクリームを加え、デザートメニューに変身させることも可能だ。「炭酸水やソーダを使えば、お酒が飲めない人や子供も一緒に楽しめる」(大林さん)
高級な食材や特別な料理を用意しなくても、演出次第でホームパーティーはもっと進化させることができそうだ。
(ライター 李 香)
[NIKKEIプラス1 2020年12月5日付]
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