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足の異常に「足病医」 高齢化でニーズ、診療科を横断

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NIKKEI STYLE

診療科の枠を超え、様々な足のトラブルに対応する「足病(そくびょう)医」が増えてきた。専門外来を開設する病院や「足病専門」をうたう診療所が各地に登場。高齢化の進展で足のトラブルに見舞われる患者の増加が背景にある。欧米では古くから定着していたが日本ではなじみが薄かった。昨年、学会が旗揚げされ、一歩を踏み出した。

「歩くのが楽になりました」。福岡市の六本松足と心臓血管クリニックに2カ月おきに通院する市内の無職、近藤道夫さん(仮名、75)が竹内一馬院長に笑顔を見せた。3年前から糖尿病で足の血流が悪化し、痛みで歩くのもつらい状態となり「(足を)切断してもおかしくなかった」(竹内院長)。

同クリニックを2018年に開業した竹内院長は「足のトラブルや悩みを抱えた患者はどの診療科にかかればいいか分からずに多くの診療科を回る難民状態となりがちだ」と指摘する。「重症化して手遅れになる患者を減らそうとワンストップで質の高い医療を提供している」

足病医は外反母趾(ぼし)や扁平(へんぺい)足などの変形、タコ、ウオノメ、水虫など皮膚のトラブルなどをカバーするほか、深刻な事態につながりかねない疾患の治療にも当たる。特に血流が悪化する末梢(まっしょう)動脈疾患や、それが重症化した重症下肢虚血は治療が難しく、組織の壊死(えし)が進めば切断に至る。動脈硬化を背景とした生活習慣病の一つで高齢化が進む中で患者数が増えている。

これらの疾患の治療が年間100件を超す佐賀大病院(佐賀市)は糖尿病内科、腎臓内科、循環器内科、形成外科等の医師ら約30人が週1回集まり、治療方針などを検討する。上村哲司診療教授は「予防にも力を入れ、糖尿病の疑いのある人向けに、楽に歩けて足に傷をつくらない『予防靴』をメーカーと共同開発している」という。

「健康寿命を延ばし元気に歩き続けることをサポートしたい」と語るのは「足と歩行の診療所」(東京・大田)の吉原正宣院長。痛み、しびれ、腫れなどを訴えて月に平均800人が受診する。ドイツ、米国での研修経験を生かし、治療だけでなく歩き方や靴、インソール(中敷き)の選び方も指導する。

「足のクリニック表参道」(東京・港)は形成外科、整形外科、循環器内科、リウマチ科など計8人の専門医を擁し、多彩な足の疾患を診る。患者の4分の3は女性で外反母趾が多い。桑原靖院長は「足は全身の4分の1に当たる大小52個の骨で構成される精緻な器官」として「耐用年数は約40年。加齢とともに崩れたアーチ構造が様々な足のトラブルを生み出している」と説明する。

東京都世田谷区の下北沢病院は「北米型足病医療の導入」を掲げて14年に開業した。足病総合センターには各科の専門医のほか、看護師、リハビリスタッフ、義肢装具士ら多職種が連携し、「糖尿病足の傷外来」「フットケア外来」「むくみ外来」などの専門外来も設ける。

順天堂大順天堂医院(東京・文京)は19年4月に大学病院としては日本初の「足の疾患センター」を開設した。足病に精通した看護師が初診患者を問診し、様々な分野の専門医に振り分ける。組織が壊死し、変色した状態になる壊疽(えそ)患者の血管の再生医療など最先端の研究も誇る。田中里佳センター長は「超高齢社会で増えていく足病に、フットケアから診断、治療、さらに再生医療まで加えて総合的に当たりたい」と話している。

◇  ◇  ◇

欧米では早くに専門化

「足病医」は欧州にルーツがある。16世紀ごろ、ヒールの高い靴を貴族の男性も履いていたため足を傷める人が絶えず、治療にあたる専門家が生まれたとされる。1900年以降、ドイツで足病学の理論や技術が体系化され、「足の手当て」を担う専門職「フスフレーゲ」が登場。その後、医学に位置づけられて2002年に足病専門医の国家資格もできた。

米国では約100年前に医師、歯科医師とは異なる足病専門医の「ポダイアトリスト」という国家資格ができ、現在約1万5000人を数える。英国やカナダ、オーストラリア、ニュージーランドでも独立した専門分野として確立している。

日本は明治の文明開化まで靴を履く習慣がなかったこともあり、欧米のような足病学は普及しなかった。近年、人口の高齢化や糖尿病患者の増加で足の切断を余儀なくされる人も増えた。2009年に日本下肢救済・足病学会が発足した。

看護師らが足病の予防に取り組む日本フットケア学会(03年設立)と、治療に重点を置く日本下肢救済・足病学会が19年7月に統合し、「日本フットケア・足病医学会」が誕生した。

理事長の寺師浩人神戸大教授によると、会員は医師、看護師、リハビリテーション専門職、義肢装具士など約5000人。「今後、中国などアジア諸国で足病の患者が増えるのは確実。アジア人の足を守る取り組みを主導したい」(同理事長)と意気込む。

(編集委員 木村彰)

[日本経済新聞朝刊2020年11月30日付]

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